主幹事証券とは?IPOのまとめ役で割当数が多い
主幹事証券は、IPOの一連の流れをとりしきる証券会社です。
上場が成功するよう、様々な助言を未上場企業に行い、公開準備から公開後までサポートを行います。
主幹事証券は幹事証券の中で、最も役回りが多くなりますが、IPOの公開株を引き受ける株数も多くなります。




目次
主幹事証券は公開準備から公開後までサポートをする
未上場企業が上場(IPO)するには、数年かかります。
上場前の準備段階から、上場後のサポートまで行うのが主幹事証券です。
いわば、未上場企業のパートナー。
- IPO 承認前
上場予定の企業と審査基準を満たすよう取り組む。 - IPO 承認後
公開価格の算定や事務手続きなど。 - IPO 上場後
資金調達の助言・指導や上場後のIRのサポートなど。
主幹事証券は、ほかの幹事証券より多くの公開株を引き受けます。
引き受けた公開株(引受価額で取得)は上場時の公開価格(発行価格)よりも安く、その差額が幹事証券の利益となります。
主幹事証券は当選数が多くなる
主幹事証券はIPOの割当数が多くなりますので、個人投資家への当選数も多くなります。
参考までに人気IPOのWelbyは、SMBC日興証券が主幹事でしたが、IPOの割当数は次の通りです。

主幹事のSMBC日興証券が、全体の91.39%の割当数(当選数)を占めています。
IPOによりますが、主幹事は全割当数の7割~9割の割当数(当選数)を占めることが多いです。
主幹事になる機会が多い証券会社は口座開設しておきましょう。
IPOの主幹事ランキング
主幹事になる証券会社は、大体決まってます。
各証券会社の主幹事実績です。
証券会社 | 2023年 全26社 |
2022年 全91社 |
---|---|---|
みずほ証券 |
9社
全体の35% |
19社
全体の21% |
大和証券 |
8社
全体の31% |
17社
全体の19% |
SBI証券 |
5社
全体の19% |
13社
全体の14% |
SMBC日興証券 |
4社
全体の15% |
24社
全体の26% |
店舗を持つ大手証券会社とネット証券のSBI証券が、大体 主幹事となります。
上場予定のIPOの主幹事証券
上場を予定しているIPOの主幹事証券です。
上場日 | 企業 | 主幹事 | 予想利益 |
---|---|---|---|
7/7 | グリッド | 野村證券 | 7.1万円~ 14.3万円 |
7/5 | ブリーチ | SMBC日興証券 | 5,000円~ 2.5万円 |
7/4 | AeroEdge(エアロエッジ) | みずほ証券 | - |
6/30 | クラダシ | 大和証券 | - |
6/30 | ノバレーゼ | 野村證券 | -4,000円~ 1,000円 |
6/30 | ジーデップ・アドバンス | みずほ証券 | - |
6/29 | W TOKYO | 野村證券 | - |
6/28 | ノイルイミューン・バイオテック | SMBC日興証券 | -4,000円~ 8,000円 |
6/28 | プロディライト | 野村證券 | 4.2万円~ 10万円 |
6/27 | クオリプス | 野村證券 | -8,000円~ 8,000円 |
6/27 | エリッツホールディングス | みずほ証券 | 1.8万円~ 3.7万円 |
6/27 | GSI | 岡三証券 | 5,000円~ 2.4万円 |
6/26 | QLSホールディングス | JTG証券 | -3,500円~ 3,000円 |
6/26 | ブリッジコンサルティンググループ | SBI証券 | 7万円~ 13万円 |
6/23 | ARアドバンストテクノロジ | みずほ証券 | 5.1万円~ 9.4万円 |
6/22 | リアルゲイト | 大和証券 | 1.8万円~ 3.6万円 |
6/22 | アイデミー | みずほ証券 | 6.3万円~ 13.5万円 |
6/21 | オービーシステム | SMBC日興証券 | 2.9万円~ 6万円 |
6/21 | シーユーシー | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | -1.2万円~ 2万円 |
6/14 | Globee(グロービー) | 大和証券 | 3.6万円~ 6.8万円 |
6/13 | ABEJA(アベジャ) | 野村證券 | 7.9万円~ 17.1万円 |
主幹事証券だけIPOに参加していればよい?
「IPOは主幹事証券だけ参加していればよいんだよ!」と情報発信している方を見かけることがありますが、
主幹事証券だけ参加しているようじゃ、IPOの当選回数は増えません!
カブスルのIPOの当選回数実績を主幹事と主幹事外でみてみます。
主幹事 | 主幹事外 |
---|---|
62回 (47.0%) |
70回 (53.0%) |
主幹事証券のIPOの割当数が多いのは事実ですが、主幹事外からもIPOに参加することで当選数と利益額は伸びます。(引受幹事や委託幹事からも参加)
主幹事は証券会社により特徴あり
各証券会社により、主幹事を行う際に特徴があります。
個人的な主観ですが、下記に書いてみます。
野村證券 | 数年前までは、主幹事といえば野村證券でした。 過去にはgumiなど業績が悪い企業も上場させ2015年に見直しを宣言。 審査基準を強めた(選別)からか幹事数が抑えられる。逆の意味では安心に。 |
SBI証券 | IPOで人気のある IT系の主幹事になることが多い。 グループ会社にベンチャーキャピタルあり。 公開規模を抑えて需給的に初値が上がりやすい内容に。 |
大和証券 | IT関連のスタートアップを発掘。IPO部門の人材を増やす。 国内への営業力が高い。 |
SMBC 日興証券 |
グループの三井住友銀行と連携。 パークシャテクノロジーや、HEROZなどAI開発企業を発掘。 |
みずほ証券 | 銀行系の証券会社であるため、審査基準はやや高い。 |
主幹事証券はIPOの割当数(当選数)が多いので積極的に参加しましょう。
ただし、主幹事だけIPOに参加していてもIPOの当選確率は上がりません。(実体験)
次に紹介する引受幹事証券からもIPOに参加しましょう!