人気が高いIPOの特徴

IPOは人気が高いほど、初値の騰落率(倍率)が高くなる傾向があります。

購入時の公開価格より初値の株価が高くなりますので、得られる利益も大きくなります。

庶民のIPOでは、IPO歴17年の経験から評価を「S」「A」「B」「C」「D」の5段階で評価しています。

IPOの評価

IPOの人気を決める評価項目には、どんなものがあるのかを紹介します。

IPOの人気を決める要素は?

IPOの初値は、市場からの人気度(評価)に大きく左右されます。

IPOの人気は下記の要素で決まります。

チェック項目 プラスの要素 マイナスの要素
市場からの吸収金額 小さい
小さいほど人気化
大きい
公募株数 公募の割合が高い
最も人気があるのは公募株のみ
公募の割合が低い
売出株数 売出の割合が低い
最も人気があるのは売出ゼロ
売出の割合が高い
公開株数 少ない
少ないほど人気化
多い
業種 その時代で人気のある業種
2022年:AI関連事業
2021年:セキュリティ、EC
地味系の業種
オファリングレシオ 低い
低いほど初値が上昇しやすい
高い
公開市場 東証グロース 東証スタンダード
地方市場
ロックアップ あり なし
ベンチャーキャピタル 上位株主になし 上位株主にあり
設立年数 新しい
ベンチャー企業
古い
老舗企業
上位株主 経営陣や機関投資家 VC
知名度 高い 低い
業績
売上や経常利益成長率など
良い 悪い
企業の割安性
PERやPBRなど
割安 割高
手取金の使徒 人材やシステムに投資 有利子負債の返却
配当利回り 高い 低い
株主優待 あり なし
株式市場の活況度 活況 不況
同時期に上場する他のIPO ない 複数あり

IPOの人気は複合的に決まります。上記の要素は参考までに。

市場からの吸収金額

市場からの吸収金額(公開規模)が小さければ小さいほど、人気が高くなります。

吸収金額が小さいということは、株式市場に出回る株式数も少なくなります。

需要(買いたい人) > 供給(株式数)

需要より供給が少ないと、買いたい人は高い株価で注文を出さざるを得なくなりますので、株価が上がりやすくなります。私たちの身の回りでも、希少品ほど価格が高くなりますよね。

2021年の東証マザーズに上場したIPOの吸収金額ごとの実績はコチラ。

吸収金額 IPO数 初値 > 
公募
騰落率 初値売り
損益
1億円~
5億円未満
6社全体の5% 6社
100%
187% 351,250円
5億円~
10億円未満
16社全体の13% 16社
100%
93.1% 173,231円
10億円~
15億円未満
16社全体の13% 16社
100%
82.7% 170,175円
15億円~
20億円未満
4社全体の3% 4社
100%
88.8% 188,375円
20億円~
30億円未満
11社全体の9% 11社
100%
26.7% 51,736円
30億円~
50億円未満
17社全体の14% 14社
82%
28.1% 65,000円
50億円~
100億円未満
9社全体の7% 4社
44%
28.2% 51,422円
100億円~ 12社全体の10% 7社
58%
24.9% 46,525円

データの通り、吸収金額が小さいほど騰落率が高くなり、逆に吸収金額が大きいほど騰落率は低くなります。

吸収金額が大きくなると、公募割れ(初値が公開価格を下回る)になるIPOも出始めます。

公募株数、売出株数、公開株数

公募株数と売出株数の違いです。

  • 公募株数
    企業が新しく発行する株式
    (企業にお金が入る)
  • 売出株数
    既存株主が市場に出す株式
    (既存株主にお金が入る)

公募株数と売出株数の2つを合わせたものが、上場企業の「公開株数」です。

公募株は企業が発行し、企業にお金が入るので、資金の使い道に期待が持てます。

一方、売出し株は既に株式を保有している株主が、株を売るのでその資金は株主に入ります。
つまり、企業側で資金を活用できません。

よって、企業に資金が入る公募株の割合が大きい方がIPOで人気があります。

ワンポイント

  • 公募株の割合が大きい
    IPOによる調達資金が企業に入るので、資金の活用が期待される。
    設備投資や人材育成、新たなサービスなど。
    公募株の割合が100%のIPOは特に人気化しやすい。
  • 売出株の割合が大きい
    既存株主は出資(株の購入)の恩恵をうける。
    企業には資金がまわらないので、新規投資家には不人気。
    売出株100%のIPOは人気が非常に低い。

また、公開株数(当選数)が小さければ小さいほど、IPOの人気も高くなります。

当選数が小さいと、需給の関係で当選倍率が高くなり、プラチナチケット化
欲しい人がもらえない状況になり、上場日に買いが集まりやすくなります。

業種

その年により人気のある業種は変わりますが、「政策テーマ」や「その年のトレンド」と合った業種は市場からの人気度が高くなります。

人気テーマ 代表的なIPO
2021年
  • DX
  • EC関連事業
  • ヘッドウォータース
    DX推進とAI活用。
    初値が11倍に。初値売りの利益は261万円
  • かっこ
    オンライン決済での不正対策。
    初値が3.9倍に。初値売りの利益は58万円
2020年~
2017年
  • AI、ディープランニング
  • 人手不足解消
2016年~
2014年
  • ビッグデータ
  • クラウド、IoT
  • ネオジャパン
    ビジネスパッケージソフトの開発、販売。
    初値が5倍に。初値売りの利益は116万円
2013年
  • IT系
  • 医療系
  • リプロセル
    ヒトiPS細胞などの技術を基盤としたiPS細胞事業。
    初値が5倍に。初値売りの利益は146万円

IPOで人気のない業種としては、部品をつくる製造業などやや地味な事業。

また、同業種に悪いニュースが出た場合も、同事業として人気が低くなります。
2020年でいえば、コロナ禍によりスポーツジムや飲食店は不人気。

オファリングレシオ

オファリングレシオ(公開比率)とは、発行済株式総数のうち公開株の割合が何%かを示す指標です。

需給の関係がわかる指標で、数値が低い方が株価が上下に大きく動きやすく、IPOでは人気があります。

計算式は、(公募株 + 売出株)÷ 発行済株式総数。

2021年のオファリングレシオ別のIPO実績。
オファリングレシオ IPO数 初値 > 
公募
騰落率 初値売り
損益

10%未満 3社全体の2% 3社
100%
155.2% 289,333円
10%~
20%未満
21社全体の17% 19社
90%
84.8% 171,790円
20%~
30%未満
53社全体の42% 48社
91%
48.8% 112,838円
30%~
40%未満
27社全体の22% 23社
85%
42.4% 78,281円
40%~
50%未満
11社全体の9% 4社
36%
9.5% 11,745円
50%~ 8社全体の6% 5社
63%
23.3% 36,888円

データをみると一目瞭然。
オファリングレシオの数値が低いほど、騰落率が高くなります。

公開市場

IPOは、将来性が高い事業の人気が高いです。

新興企業向けの市場であり、ベンチャー企業などの成長企業が集まる「東証グロース市場」のIPOは人気が高いです。

もっとも、市場が人気あるワケではなく、IPOを行う企業の事業内容が人気が高いワケですが。
目新しいサービスや事業の将来性が高い企業が、同市場に上場しやすいです。

ある意味、発展途上のサービスのIPOが東証グロース市場に集まりやすいです。
まだ投資段階にあり、業績が赤字の企業も多くなります。(売上拡大中だけど営業損失など)

ロックアップ

ロックアップとは大株主に対して、条件をつけて上場後すぐに売却できないようにする仕組みです。

会社役員・大株主・ベンチャーキャピタルなどの公開前の会社の株主が、その株式が公開された後に一定期間、市場で持株を売却することができないよう公開前に契約を交わす制度のことをいう。

上場後すぐに、大株主が大量の株式を売却すると、需給バランスが崩れやすくなります。

そこで 需給(株価)の安定を図る為、大株主に対してロックアップの制限をかけることがあります。

具体的には、引受契約締結日から、期間または価格、または両方のロックアップがかけられます。

  • 期間で設定する場合。
    引受契約締結日から、上場日後180日目または90日目まで。
  • 価格で設定する場合。
    株価が公開価格の1.5倍または2倍に達するまで。

ロックアップがかかる場合は、上記のどちらか、または両方がかかっている場合があります。

ロックアップ条項
AI CROSSのロックアップ状況

期間と株価の両方のロックアップがある場合は、どちらかの条件クリアでロックアップが解除されます。

  • ロックアップあり
    大株主が上場後にスグに株を売れない。
    需給が安定しやすい。
  • ロックアップなし
    大株主が上場後にスグに株を売れる。
    売り圧力となり、初値後に買い注文を入れづらい。

公開価格の1.5倍以上でロックアップが解除される要件がついている場合、逆にいえば1.5倍までは売り圧力が弱いことが見込まれるということになります。

証券会社と交わす通常の「ロックアップ」の他に、第三者割当などにより保有期間の確約を取り交わす「制度ロックアップ」があります。(例)モダリスの片山氏など。

ベンチャーキャピタル

ベンチャーキャピタル(VC)とは、未上場の企業に投資する投資会社です。

未上場企業に投資し、上場(株式公開)を目指します。
上場前に割安な株式を取得しており、上場後に株式を売却することで大きな利益を得ます。

代表取締役や役員などが大株主の場合と比べて、ベンチャーキャピタルが大株主の場合はリターンを目的としていますので、株式を売却しやすいです。大きな売り圧力となるので、注意が必要となります。

上記で紹介したロックアップによる売却制限がかかっている場合も多いです。

ロックアップ条項

赤線のものがベンチャーキャピタルになります。
「投資事業有限責任組合」と呼称がついているものは、大抵VCです。

ワンポイント

  1. 上位株主にVCが多く、売出しが多い場合
    • 上場企業ではなく既存株主に調達資金が回るので、投資家の印象は悪い。
    • ただし、上場時に売り出すとVCの保有株がなくなるので、中長期的な売り圧力がなくなる。
  2. 上位株主にVCが多く、売出しがない場合
    • VCも株価の値上がりを期待していることが考えられる。
    • ただし、VCの売り圧力は残っているので、中期的には売り圧力の心配がある。
  3. ロックアップがある場合
    • 期間縛りが一番安心。
    • 1.5倍などの価格縛りは、株価に注意しておく。
  4. ロックアップがない場合
    • VCはいつでも売れるので、積極的な買い注文が入りづらい。

なお、IPOではVCの存在は人気ありませんが、ベンチャー企業にとっては出資してくれる大切なパートナーになります。

VCの出資タイミング。

  1. 起業前のシードステージ
  2. 事業開始直後で売上未計上のアーリーステージ
  3. 単月黒字化前後のミドルステージ
  4. IPOを見据えて株主構成を整理するレイターステージ

また、上場企業側は上場後に売られると株価が下がり印象が悪いので、なるべく上場時に売り出ししてもらえるよう交渉しています。

株式市場の活況度

株式市況の活況度も評価に影響します。

項目 人気化しやすい 人気化しづらい
株式市場の活況度 取引が活発
株価は上昇傾向
取引が少ない
下落が続いている
Yahoo!掲示板などの状況 書き込みが多い 書き込みが少ない
直前のIPOの初値 高い 安い

IPOが持つ実力(企業の業務内容や実績)だけで、株価の初値が決まらないところもIPOの面白いところです。

あのIPO、あの時期に上場していたらもっと凄かったのに…といった事も少なくありません。
逆もあり、赤字企業で人気がないIPOでも市況の勢いで、初値が思ったより上がる場合があります。


以上、これらを考慮してIPO歴17年のカブスルがIPOの初値期待度を、五段階で評価しています。

データを見ても、カブスルの評価が高いほど、初値の利益や騰落率が大きくなっているのがお分かりいただけると思います。


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