IPO投資のリスクとデメリット。損失を回避する方法あり
大きな利益を得られるのがIPO投資の魅力ですが、IPO投資にもリスクとデメリットがあります。
購入したIPO株の株価が下がり、損失が出ることがIPO投資のリスクです。
2023年~2021年の直近 3年間では、全体の約1~2割のIPOが、上場後に株価が下がる公募割れ(損失)となりました。のちほど詳しく解説します。
ただし、カンタンにIPO投資の損失リスクを回避する方法がありますのでご安心ください。
目次
リスク1 :不人気IPOの公募割れリスク
IPO投資の損失リスクである公募割れについて確認していきましょう。
こちらで登場する専門用語を先にご紹介します。
- 上場後に初めてつく株価を「初値」といい、
- 抽選に当選し上場前に購入した株価を「公開価格」といいます。
公開価格よりも初値が下回る事を「公募割れ」と呼びます。
購入時より株価が下がった状態で売却すると、損失に。
IPOの中には、投資家に人気のないIPOがあります。
人気がないと投資家の「買い注文」が集まらず株価が上昇しないので、公募割れのリスクが高まります。
人気がない理由としては、売上が思わしくない、市場からの調達金額が大きいなど色々な要因があります。参考記事にて人気が高いIPOと人気が低いIPOの特徴を紹介しています。
直近3年間の公募割れしたIPO
直近3年間の公募割れしたIPOの数とその割合です。
リンク先をクリックすると公募割れしたIPOの一覧が表示されます。
公募割れをした場合、数千円から数万円の損失になることがあります。
年 | 公募割れしたIPO数 | 平均の損失額 |
---|---|---|
2023年 全96社 |
26社 (全体の27%) |
-10,517円 |
2022年 全91社 |
19社 (全体の21%) |
-13,232円 |
2021年 全125社 |
22社 (全体の18%) |
-19,341円 |
2020年 全93社 |
23社 (全体の24%) |
-19,504円 |
2019年 全86社 |
9社 (全体の10%) |
-8,230円 |
2020年はコロナショック、2021年は歴史的なマザーズ指数の下げ、2022年~2023年はロシアのウクライナ侵攻による原油高、それによる株安などがあり、直近3年間の新興市場は弱かったです。
例年、全体の約1~2割が、上場後に株価が下がる公募割れになっています。
数値だけ見ると損失リスクが高いと思われるかもしれませんが、実際に損失を出すリスクはこれよりグッと低くなります。
損失を出した(公募割れ)IPO数を「5段階の評価」ごとに一覧にしました。
評価はカブスルがつけています。(評価Sが最も初値の期待値が高い)
年 | S | A | B | C | D |
---|---|---|---|---|---|
2023年 全96社 |
0社 | 0社 | 8社 全体の8.3% |
13社 13.5% |
5社 5.2% |
2022年 全91社 |
0社 | 0社 | 3社 3.2% |
12社 13.1% |
3社 3.2% |
2021年 全125社 |
0社 | 1社 0.8% |
4社 3.2% |
13社 10.4% |
3社 2.4% |
2020年 全93社 |
0社 | 1社 1.1% |
4社 4.3% |
14社 15.1% |
5社 5.4% |
2019年 全86社 |
0社 | 0社 | 0社 | 6社 7% |
3社 3.5% |
先ほども書きましたが、2023年~2020年は市況悪化によりグロース(マザーズ)市場は弱気相場となり、IPO投資にも悪影響がでていました。
なんとな~く、IPO投資の損失リスクの回避方法が見えてきましたでしょうか?
そうです。庶民のIPOによる評価が高いIPOは公募割れしづらく、評価が低いIPO(CやD評価)が公募割れしやすくなっています。
IPO人気は評価で判断!
庶民のIPOでは、IPOの評価を「S」「A」「B」「C」「D」の5段階で評価しています。
「S」が最も投資家の注目度が高く、利益を得られる可能性が高いIPOです。
「D」は投資家から人気がなく、公募割れの損失リスクが高いIPOになります。
先ほど、評価ごとの公募割れ銘柄の分布を載せましたが、公募割れをしているのは評価が低いIPOだということがお分かりいただけたと思います。
IPOデータページでは、IPOの評価ごとの平均利益や騰落率のデータを載せています。
データを見ると一目瞭然ですので是非、参考にしてください。
SやAといった評価が高いほど利益額や騰落率が高く、評価が低いCやDは公募割れのリスクが高いことがお分かり頂けると思います。
公募割れのリスクを回避するには?
もうお分かりですよね?
公募割れリスクを回避するには、評価の低いIPOに応募しなければいい!
コレだけでIPO投資の損失リスクはかなり回避できます。
最初に紹介した、公募割れした表に評価もつけ加えて見てみましょう。
各IPOに応募した際の、公募割れしたIPOの数と割合です。
年 | 評価A以上 |
評価B以上 のみ参加 |
すべて参加 |
---|---|---|---|
2023年 全96社 |
対象19社 |
対象54社 |
対象96社 |
2022年 全91社 |
対象9社 |
対象47社 |
対象91社 |
2021年 全125社 |
対象24社 |
対象84社 |
対象125社 |
2020年 全93社 |
対象23社 |
対象59社 |
対象93社 |
2019年 全86社 |
対象21社 |
対象52社 |
対象86社 |
IPOすべてに参加する場合に比べて、評価により参加IPOを絞ることにより損失リスクを減らせます。
評価A以上の公募割れは ほぼなく、評価B以上で数%の公募割れとなっています。
ちなみに、評価BやCでも初値が良いIPOもあります。
評価を絞ると損失リスクは減りますが、IPO投資に参加する機会も減ります。
そこで、下記のようなスタンスでIPO投資を行うのも良いと思います。
ワンポイント
- 損失リスクを少し覚悟して、IPO当選を目指したい!
評価「B」以上のIPOに積極参加。
評価「C」は銘柄により判断 - 損失リスクをなるべく減らして、IPOに参加する
評価「B」以上のIPOのみ参加 - 損失リスクを限りなく減らしたい
評価「A」以上のIPOのみ参加
参考までにカブスルのIPOの参加基準です。
リスクを少しとってリターンを目指してますので、やや強気の参加基準となっています。
参考までに
- 「S」「A」は全力でIPOに参加!!
- 「B」も積極的にIPOに参加!
- 「C」は銘柄と株式市況により判断して参加 or 不参加
- 「D」は不参加
(参考)カブスルの評価ごとの当選IPO
カブスルはIPOに167回 当選していますが、その中で損失が出たIPOは全部で13社。
損失額の合計は17万9,515円になります。(IPO当選実績)
カブスルの当選IPOを評価別に分けて損益もだしてみました。
評価 | 当選数 | 利益がでた数 損益 |
損失がでた数 損益 |
---|---|---|---|
S | 14回 | 14回 +702万円 |
0回 |
A | 16回 | 16回 +421万円 |
0回 |
B | 63回 | 58回 +506万円 |
3回 -2.9万円 |
C | 58回 | 42回 +180万円 |
12回 -15万円 |
D | 3回 | 3回 +2万円 |
0回 |
カブスルが当選したIPOで損失が出たIPOは15回。うち、評価Bが3回、Cが12回でした。
ご覧の通り、各評価で損失が出ていますがそれ以上に利益が出ています。
もし、当選IPOが公募割れしたら?
公募割れをするということは、IPOに人気がない(買う魅力がない)ということです。
もし、当選IPOが公募割れをした場合、購入した経緯を考えて売却の判断をしましょう。
株式市況やIPOの内容にもよりますが、短期投資目的の場合、売却して損失を確定するのがおすすめです。
理由としては売却すると資金が解放され、次のIPOに資金が回せます。
株価の値上がりを待つというのも手ですが、資金が凍結され また株価の上昇をいつまで待てばいいのかも分かりません。長期的に保有する目的がないのであれば売却したほうがよいと思います。
参考までに、カブスルの例です。
- 保有する意思がない。はじめから短期売買が目的の場合
初値売りして損失を確定する。 - 配当利回りの良さや事業内容により長期保有するのが目的の場合
公募割れをしても売らずに保有。
ほとんどのIPO投資は短期売買が目的ですので「1」を選択しています。
損失をだすのがイヤだからと、保有を続けてもよいことがありません。
カブスルは潔く諦めて売却し、次のIPOの抽選資金に回しています。
参考までに
例として、当選して損失になったソフトバンク(9434)を見てみましょう。
- 公開価格 1,500円で100株 当選&購入。
1,500円 × 100株 = 150,000円で購入 - 初値 1,463円で100株 売却。
1,463円 × 100株 = 146,300円で売却 - 当選したSMBC日興証券の売却手数料は194円
- 146,300円-150,000円-194円 = 3,894円の損失
ソフトバンクは知名度が高く、配当利回りも高いことから期待されていたものの、上場直前に大規模な通信障害などがあり、公募割れ(損失)となりました。
リスク2 :上場後の荒い値動きによる損失リスク
IPOは上場後、多くの投資家により売買が行われます。この中には相場に生き残り続ける歴戦の猛者や資金力の大きい機関投資家も。
上場直後はIPO株の売買が非常に激しくなり、株価はジェットコースターのように乱高下します。
よって、上場後にIPO株を市場で購入し、売却するのは損失リスクが高くなります。
上場直後の変動リスクを回避するには?
IPO株を上場後に購入しないことで、IPO投資の損失リスクを回避できます。
ブックビルディングに参加して当選した場合、IPO株を「公開価格」で購入できます。
公開価格は割安に設定されており、公開価格で購入することで損失リスクを抑えられます。
よって、手に入れたいIPO株がある場合、ブックビルディングに参加しましょう。
参考までに
IPO株は上場後に株価の上下が激しくなりますが、この高低差を利用して短期間で利益を得ようとする市場参加者もいます。(主にディトレーダー)
「IPOのセカンダリー狙い」と呼ばれており、非常にハイリスク・ハイリターンの投資法になります。
損失リスクが高いので、相場に慣れた上級者向けの投資法となります。
初心者は・・・歴戦の強者のカモになるだけですので やめておきましょう。
デメリット:人気が高く当選しづらい
IPO投資のデメリットとしては、IPOになかなか当選しないというのがあります。
そこでIPOに当選するには、抽選に当てるための工夫が重要です。
たとえば複数の証券会社に申込みをしてチャンスを広げることなどを意識しましょう。
IPO当選のコツを実践&継続することで当選確率は上がっていきます。
カブスル一家で大体、年1~2%の当選確率です。つまり50回~100回の申込で1回当選。
50回というのは50社じゃありません。1社につき複数の証券会社から申込めるので、幹事証券が5つあれば1社につき5回の申込みに。
Twitterで他の方にも、当選確率は私と同じくらい(年1~2%)だよと教えてもらいました。
続いてIPO投資のやり方(買うまでの流れ)を紹介します。