IPO投資のやり方と流れ
IPO投資のやり方と流れ(参加の手順)について説明します。
IPO投資を行うには、証券会社の口座開設が必要です。
口座開設後、IPOのブックビルディング(需要申告)に参加し、IPO株の当選を目指します。
目次
IPO投資の第一歩。証券会社に口座開設しよう!
IPO投資を行うには、証券会社の口座開設が必要になります。
すべての証券会社からIPO株を買えるわけではなく、幹事証券と呼ばれる担当の証券会社から購入します。
IPOに参加できる3つの幹事証券
幹事証券からIPOのブックビルディング(需要申告)に参加することができます。
また、抽選に当選するとIPO株を購入することが出来ます。
IPOの幹事証券は固定ではなく、IPOごとに幹事証券が異なります。
なるべく多くの証券会社に口座開設をしておくと、抽選機会が多く当選しやすくなります。
長文の為、こちらでは割愛しますが、参考記事も余裕がありましたらご覧ください。
幹事証券はIPOのページで紹介
上場する企業ごとに、主幹事証券や引受幹事証券を担当する証券会社が違います。
庶民のIPOでは、各IPOの幹事証券を個別ページにて紹介しています。
参考までに
(例)メルカリのIPOに申し込めた幹事証券は10社
ひとつポイントとして、主幹事証券と引受幹事証券については、東証やEDINETで見られるIPOの目論見書に書いてありますが、委託幹事証券(通称 ウラ幹事)については書いてありません。
庶民のIPOでは委託幹事証券もチェックし掲載しています。
IPO投資の流れ
企業の上場が決まったら(IPOの承認)、ブックビルディング(需要申告)に参加することができます。
IPOの承認から上場までの流れです。
IPO投資でわたしたちが行うことは、ブックビルディング(需要申告)に参加することです。
申告後、IPO株に抽選で当選したら購入し、上場日以降に売却することで、IPO投資による利益を得られます。
説明が長くなるので、まずはわたしたちに関係のある「ブックビルディング」と「抽選」「購入」について説明し、最後にそれぞれの流れについて説明します。
ブックビルディングとは?IPOの抽選に参加すること
ブックビルディング(需要申告)とは、IPO株をいくらの価格で、何株買いたいか を幹事となっている証券会社に申告することです。申告と言ってもカンタンで、手順に沿って申し込むだけです。
ブックビルディングに参加しないと、IPO株を購入できません。
IPO投資は人気があり、用意されている株数よりも、購入希望数が上回ります。
よって購入者は参加者の中から抽選で選ばれます。
仮条件で決められた価格帯から、
「IPO株を ★★円 で、 ★★株 買いたい!」と、幹事の証券会社を通じて希望を申告します。
(例)IPO株の仮条件が「1,000円 ~ 1,500円」で、単元株が100株の場合。
- Xさん:1,000円で、100株 購入したい
- Yさん:1,200円で、300株 購入したい
- Zさん:1,500円で、200株 購入したい
それぞれ、希望の株価と株数を申告します。
ブックビルディングの申込期間は約5日間。忘れずに期間中に申込みましょう。
なお、各証券会社で申込期間や締切時間が違います。詳しくは参考記事にて。
参考までに
2023年10月から公開価格決定のプロセスが変更となりました。
公開価格は最大、仮条件の上限価格の+20%で決まります。(最小は下限価格の-20%)
この変更により、ブックビルディングに申込む際の上限価格が各証券会社で変更となりました。
仮条件が1,000円~1,200円で決まり、抽選資金拘束の証券会社に100株申し込む場合、
- (1,200円×20%)×100株=14.4万円の抽選資金が必要に
なお、ブックビルディング申込時の上限価格は、従来のままと+20%分必要なところと、各証券会社で違います。制度変更でややこしくなりました…
抽選資金を用意する。必要ない証券会社もあり
ブックビルディングに参加するには、IPOの抽選資金が必要になります。
抽選資金は、IPOごとに必要額や必要になるタイミングが異なります。(のちほど説明)
申し込む株価 × 申し込む株数 = 抽選に必要な資金 になります。
ほとんどの証券会社では平等抽選を採用しており、申し込む株数は100株で充分です。
抽選資金は落選すると戻ってきますし、抽選に参加するにあたり手数料は一切発生しません。
参考までに
(例)IPO株の仮条件が1,000円 ~ 1,500円で、単元株が100株の場合。
上限の1,500円で100株 応募すると、
1,500円 × 100株 = 15万円の抽選資金が必要になります。手数料はなし。
IPOに参加する際に抽選資金を必要とする証券会社が多いですが、一部の証券会社では抽選資金が必要ありません。証券会社への入金がゼロでもIPOに参加できるので、気軽に参加できます。
当選狙いなら申込み可能な金額の最大で申し込む
IPOの当選を狙う場合、ブックビルディングで申込む価格は、申込み可能な金額の最大価格で申込みましょう!
決定した公開価格よりも低い株価で申し込んだ場合、抽選対象外となり必ず落選します。
(例)IPO株の仮条件が1,000円~1,500円。公開価格が1,500円に決定した場合。
- Xさん:1,000円で、100株 申込み ← 抽選対象外
- Zさん:1,500円で、100株 申込み ← 抽選対象
なお、最大価格とは次の価格になります。
- 仮条件の範囲内で申込める場合
「仮条件の上限価格」または「成行」にて申込む - 仮条件の上限価格を超えた範囲で申込める場合
「申込価格の上限価格」または「成行」にて申込む
成行は、申込める価格の上限とほぼ同じ意味です。価格を入力しない分、ラクです。
2023年10月から公開価格決定プロセスの変更が行われ、少しややこしくなりました。詳しくは下記の参考記事をご確認ください。
抽選とは?当選すればIPO株を購入。落選すれば資金が戻る
IPOごとに、公開する株数(購入できる全体の株数)が決められています。
ブックビルディングで希望の株数を需要申告しますが、公開される株数より希望数が多かった場合、抽選により公開価格で購入できる「当選者」を抽選により決定します。
ほとんどのIPOは公開株数より投資家の応募数が上回ります。
希望者全員に割当することはできず、応募者の中から「抽選」によって購入者が選ばれます。
IPOの抽選方式や配分方式は、各証券会社で異なります。
長文になるのでこちらでは省略します。参考記事をご覧ください。
ちなみに人気の高いIPOほど、抽選倍率は高くなります。
上記は日経新聞の紙面に載っていた抽選倍率です。
抽選倍率は通常 発表されません。知名度が高く注目度の高いIPOだけ新聞社の取材により紙面に載ります。
落選で抽選資金が戻ってくる。手数料もなし
IPO投資の抽選に参加するには、抽選資金が必要です。
抽選で落選した時点で、抽選資金は戻ってきます。
また、IPOの抽選参加に手数料は一切かかりません。
抽選に参加するだけでは、なにかしらの損失を出さないので、宝クジより参加しやすいです。
当選したら購入を忘れずに!
抽選に当選すると、IPO株を買う権利を得られます。
当選IPOを買える期間(購入期間)は決まっていますので、期間内に忘れず購入しましょう!
購入期間は数日間と短いです。
IPO株を売却して損益確定
IPO株を購入し上場日以降に売却することで、IPO投資による利益を得られます。
購入したIPO株を、いつ売却するかは自由。
売りたいときに売ればいいのが株式投資です。
IPO初心者の方は売るタイミングを決めるが難しいと思うので、「上場日の初値で売却する」のをオススメしています。
初値とは上場後にはじめてつく株価。
初値売りとは、公開価格で購入して初値で売却することです。
わたしはIPO投資歴19年になりますが、感覚的に8割の当選IPOを初値売りしています。
IPO投資の流れに出てくる専門用語
説明を後回しにしていた、IPO投資の流れに関する専門用語を説明していきます。
IPOの承認とは?
IPOの承認とは、上場を希望する企業が証券取引所から、IPO(上場)の許可をもらうことです。
上場が承認されると、証券取引所でIPOの内容が情報公開されます。
公開された情報である「目論見書」には、IPOの内容や企業の業績が書かれています。
ズラ~っと文章や数字が書いてあるので、慣れないと読むのに疲れます。
そこで庶民のIPOでは、目論見書に書いてある事業内容やIPOの内容を要約して見やすく掲載しています。
また、IPOの内容により5段階の評価を付け、予想利益も公開しています。
IPO初心者や調べる時間がない方は、庶民のIPOの情報を見るほうが手っ取り早いかと思います。
仮条件とは?
仮条件とは、主幹事証券が機関投資家などにヒアリングし、株式市況、価格変動リスク、同業他社との比較など、さまざまな点を考慮して決められる価格帯のことです。
仮条件の需要や株式市況を考慮し、公開価格(IPOに当選し購入する価格)が決定します。
IPOの承認時に想定発行価格が発表されます。
想定価格はIPOを行う企業と主幹事で、同業他社の株価や市況なども考慮し決めたもので、想定発行価格を基に、機関投資家などに価格感についてヒアリングを行います。
IPOの承認後、経営陣が機関投資家を訪問し成長戦略などを説明(ロードショー)し、機関投資家からのフィードバックをもとに仮条件が決まります。つまり、
- 機関投資家の評価が高い
→ 仮条件の価格は想定価格より上がる - 機関投資家の評価が低い
→ 仮条件の価格は想定価格より下がる
IPO承認時の想定価格と、仮条件の価格帯を比較することにより、機関投資家に需要のあるIPOか?(人気があるか?)を推し測ることができます。
公開価格とは?
ブックビルディングで需要申告された内容や株式市況を考慮して、IPO株の「公開価格」が決定します。
公開価格とは、上場時の基準となる株価です。
抽選に当選した人が購入する株価。
なお、公開価格は仮条件の±20%の価格で決定する場合があります。
(仮条件の上限価格×120%、下限価格×80%)
仮条件が1,000円~1,200円の場合
- 仮条件の上限価格(1,200円) × 120% =
公開価格が1,440円になる可能性 - 仮条件の下限価格(1,000円) × 80% =
公開価格が800円になる可能性
ブックビルディングの需要が、どちらか一方に偏った場合に、上限価格または下限価格が仮条件より拡大して決定します。
上場後、公開価格よりも株価が上がれば利益が出ますし、公開価格よりも株価が下がれば損失になります。
【参考】2023年11月以前のIPOの公開価格は、仮条件の範囲内で決まっていました。公開価格決定プロセスの見直しにより、仮条件の価格の±20%以内で公開価格が決定することになり、ややこしくなりました。
各証券会社のIPO申し込み方法
各証券会社のIPOの申込方法をキャプチャ画像付きで、下記のページで紹介しています。
また、IPOに申込む際のポイントも説明していますので、はじめてIPOに参加される際の参考にしてください。
まとめ:IPO投資を行うには?
IPO投資を行うには、ブックビルディング(需要申告)の参加が必要です。
ブックビルディングに参加するには、幹事証券の証券会社の口座開設が必要になります。
また、幹事証券はIPOごとに異なります。
- 証券会社の口座開設を行う
- ブックビルディング期間中に忘れずに申し込む
- 仮条件の上限で申し込む
- 当選確認し、購入する
この4点を忘れずに行いましょう (  ̄∇ ̄)
購入申込と当選確認を忘れない便利なシステムも提供しています。
参考:10月1日から公開価格決定のプロセスが変更に
IPOのプロセスの見直しの議論が進められておりますが、うち下記の項目が2023年10月1日より施行へ。
- 仮条件の範囲外で公開価格が決まる場合あり(需要により仮条件の±20%の価格に)
- 仮条件の上限価格の120%
- 仮条件の下限価格の80%
- 売出株式数を公開価格の設定と同時に変更可能に
- 上場日に一週間程度の幅を持たせることが可能に
- 上場承認から上場日までの期間の短縮(従来は一ヵ月程度。新方式では21日程度)
- 数週間から数ヵ月、上場日の延期が可能に
わたしたちに最も関係があるのは「仮条件の範囲外での公開価格の設定」になります。
各証券会社にてブックビルディングの申込方法がやや変わりましたので、下記の参考ページにまとめています。
なお、IPO投資の流れはこれまで通りとなります。
続いて、IPOで利益を得る仕組みについて確認しましょう。