SaaS関連のサービスは成長分野としてIPOで人気のある業種

SaaSは、サービス提供事業者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネットなどのネットワークを経由して、ユーザーが利用できるサービスです。

Software as a Serviceの略で「サーズ」または「サース」と呼びます。

SaaSのメリットは、ユーザーがソフトウェアを導入する必要がなく、導入費用を抑えられる点です。

  • マイクロソフトのオフィスソフト「Office 365」
  • Gmailなどのメールサービス

SaaS関連のサービスは成長分野として、IPOで人気のある業種です。

SaaSの業績はMRRやARRで判断する

SaaSを提供しているサービスは、先行投資を行っていることが多く、業績が赤字もしくは利益額が低くなりがちです。

そこで、MRRやARRの指標の推移(成長率)をみて業績を判断します。

指標 内容
MRR
(月間経常収益)
毎月、繰り返し得られる売上のこと
ARR
(年間経常収益)
毎年、繰り返し得られる売上のこと
NRR
(売上継続率)
今月獲得した売上が、来年の今頃にどの程度になるのかを示す指標
NRR100%は解約よりもアップセルが上回っている状態。120%を超えると優秀
ARPU
(アープ)
ユーザー1人あたりの平均売上金額(客単価)
ARPA 1アカウントあたりの平均売上金額

経常損益だけでなく、上記の指標をみて成長性などを確認します。

現在の株価が妥当かどうか、上記の指標などを使って適正価格を探ります。

指標 内容
PSR
(株価売上高倍率)
時価総額 ÷ 年間売上高。
売上高の部分はSaaSの場合、年間のサブスクリプション売上高で計算。
売上高が同じ場合、倍率が低いほど割安。
ARRマルチプル 時価総額 ÷ ARR
ARRの何倍で時価総額が算出されているか。
ARRが同じ場合、倍率が低いほど割安。
LTV
(顧客生涯価値)
顧客あたりの平均月間MRR ÷ ユーザー解約率
平均的な顧客が解約する前にどれだけの収益を上げるかを見積もったもの。

時価総額は、「株価 × 発行済株式数」で計算します。
時価総額はごくカンタンに説明すると、企業の大きさを測る指標。

SaaSは解約率の推移を要チェック

SaaSサービスをみるときは、解約率(チャーンレート)のチェックも大事です。

  • カスタマーチャーンレート
    顧客数ベースのチャーンレート
    解約した顧客数で算出
  • レベニューチャーンレート
    収益ベースのチャーンレート
    解約やダウングレードによって生じた損失金額で算出

顧客満足度を上げ、解約率を下げることが事業の持続的な成長に繋がります。

  • 名刺管理のSansanで、解約率は1.0%
  • クラウド会計ソフトfreeeで、解約率は2.0%

解約率が低いと、新規顧客を獲得するたびに業績が伸びていき、安定的な収支が確保できます。

PSRが高いと売上成長率が高い

PSR(株価売上高倍率)は、時価総額 ÷ 年間売上高(直近の四半期売上高×4)。

売上高に対して株価が割高か割安かを判断するための指標であるため、SaaS企業のように業績が赤字でも、指数を算出できるのが特徴です。

売上成長率が高い企業ほどPSRが高くなります。

2021年6月時点で、予想ベースでPSR20倍を超える企業。

PSRは20倍以上だと株価が割高とされておりますが、事業の成長性と比較して投資判断に使われます。

40%ルールをチェック

SaaS企業に投資をする際の基準として「40%ルール」があります。

「売上の前年同期比成長率」+「営業利益率」が40%を超えているのが、望ましいとされています。

足し算を使っているのが特徴で、カンタンにいうと、どちらも大事ということです。
(売上成長率が高いほうが人気ある)

  • 売上が悪いなら、高い収益性が要求される。
  • 売上が良いなら、低い収益性にも目をつぶれる。

IPOを行うSaaS企業には、売上高はガンガン上がっているが、赤字の企業が見受けられます。

この40%ルールに照らし合わせると、赤字でも投資対象と判断されやすくなります。

ただし赤字だと40%ルールに届かず、クリアしているSaaS企業は少ない。

SaaS関連IPO

SaaS関連銘柄のIPOです。

SaaS自体は事業内容として人気がありますが、創業間もないスタートアップ企業やベンチャー企業のIPOが多く、業績も不安定な段階の為、評価がやや低くなっています。

企業 騰落率 初値売り損益
POPER
2022/11/15
58.5%
1.6倍
41,000円
eWeLL
2022/9/16
130%
2.3倍
221,000円
サイエンスアーツ
2021/11/24
165.8%
2.6倍
283,500円
モビルス
2021/9/2
42.9%
1.4倍
55,000円
スパイダープラス
2021/3/30
48.4%
1.4倍
56,200円
ヤプリ
2020/12/22
65.8%
1.6倍
208,000円
ココペリ
2020/12/18
125.6%
2.2倍
201,000円
プレイド
2020/12/17
99.3%
1.9倍
159,000円
ビートレンド
2020/12/17
257.5%
3.5倍
721,000円
かっこ
2020/12/17/td>
290.5%
3.9倍
587,000円
スタメン
2020/12/15
133%
2.3倍
117,100円
アララ
2020/11/19
120%
2.2倍
168,000円
rakumo
2020/9/28
204%
3倍
255,000円
トヨクモ
2020/9/24
351%
4.5倍
702,000円
アイキューブドシステムズ
2020/7/15
202.2%
4.3倍
631,000円

SaaSは、IPOで人気のあるホットワードです。

ホリゾンタルSaaSとバーティカルSaaS

SaaSには「ホリゾンタルSaaS」と「バーティカルSaaS」の2つの種類があります。

ホリゾンタルSaaSは、業種を問わず利用されるサービスのこと。
バーティカルSaaSは、業種が限定されたサービスのこと。

SaaS メリット デメリット 企業
ホリゾンタルSaaS 営業開拓先が豊富 ライバル企業が多い
バーティカルSaaS ライバル企業が少ない 業種が限定され頭打ちになりやすい

事業資金が限られているスタートアップ企業が取り組みやすいのは、ホリゾンタルSaaSのようです。

SaaS、PaaS、IaaSの違い

似たような用語で、PaaSとIaaSがありますので一覧で紹介します。

SaaS
(サース/サーズ)
クラウドで提供されるソフトウェアのこと。
PaaS
(パース)
アプリケーションソフトが稼働するためのデータベースやプログラム実行環境などが提供されるサービスのこと。
IaaS
(イァース/アイアース)
情報システムの稼働に必要な仮想サーバやハードディスク、ファイアウォールなどのインフラを、インターネット上のサービスとして提供する形態。

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