コインチェックが行うIEOとは?IPOとの違いを解説
仮想通貨取引所のコインチェックが、2021年7月に国内初のIEOを行い、2023年3月に同社第二弾のIEOを行いました。
どちらも、募集開始即日で目標金額を達成する人気ぶり。
- IEO第一弾:HashpaletteのIEO
- わずか6分で目標金額を達成
- 取扱い初日(上場日)は、販売価格(1PLT=4円)の約11.5倍である46.129円の高値を記録
- カブスルは1口(1,000PLT)当選し7.6万円の利益確定
- IEO第二弾:フィナンシェトークンのIEO
- わずか1時間で目標金額を達成
- 取扱い初日(上場日)は、販売価格(1FNCT=0.41円)の約7.6倍である3.111円の高値を記録
- カブスルは4口(40,000FNCT)当選し3万円の利益確定
コインチェックは、マネックスグループが2018年に買収し主要株主となっています。
IPOにやや似ている面もありますので、こちらでIEOについて説明したいと思います。
目次
IEOとは?
IEOとは、Initial Exchange Offeringの略です。
暗号資産(ユーティリティ・トークン)を新たに発行して、一般投資家から資金調達を行います。
(コインチェックのWebサイトより)
発行されたトークンは、ユーザー同士で売買したり、サービスへ利用することが可能です。
発行体のサービスを利用できるというところが、IPO(株式)とは違うところですね。
IEOの抽選に参加するには、コインチェックに口座開設することで参加可能になります。
アプリで本人確認を行うと、審査後すぐに利用することができます。(郵送の場合は数日)
ICOやIPOとの違い
ややこしいですよね・・。IEOにICOにIPO。
3つの共通点は、事業資金を調達するということです。
IEOは、そのほかにトークンエコノミーの構築という目的もあります。
違いは資金の調達手段や事前審査の有無。
IEO | ICO | IPO | |
---|---|---|---|
資金調達手段 | 暗号資産 (トークン) |
暗号資産 (トークン) |
株式 |
発行主体 | 企業・団体 | 企業・団体 | 株式会社 |
事前審査 | あり | なし | あり |
審査主体 | 暗号資産 交換業者 |
なし | 証券取引所 証券会社 |
購入時の手数料 | あり | あり | なし |
IEOとICOはどちらも暗号資産により事業資金を調達する方法ですが、事前の審査がないICOでは詐欺的な案件も発生しておりました。
その点、コインチェックが行うIEOについては、暗号資産取引所が主体となってプロジェクト審査、およびトークン販売を行います。
発行されるトークンだけでなく、発行元企業についても十分に調査。
コインチェックでは資金調達後の情報発信についても監視していくようです。
ほかに、IPOではブックビルディング参加で手数料が発生しませんが、IEOでは申込金額に手数料率を乗じた金額の手数料が発生します。
IEO第二弾:フィナンシェトークンのIEO
2023年3月に、コインチェックのIEO第二弾としてフィナンシェトークンのIEOが取引を開始しました。
前回のIEO第一弾のHashpaletteが2021年7月でしたので、約一年半ぶりのIEO募集に。
第一回目が最高値で買値の約11.5倍をつけたことから、注目度も高いです。
→ 募集は一時間で目標金額を突破。上場日の高値は販売価格の約7.6倍に!
項目 | 内容 |
---|---|
発行者 | 株式会社フィナンシェ |
発行トークン | フィナンシェトークン(FNCT) |
取扱開始 (上場日) |
2023年3月16日 12時 |
総発行枚数 | 20,000,000,000枚 |
販売総数 | 2,600,000,000枚 (総発行枚数の13%) |
販売価格 | 0.41円/FNCT |
申込単位 | 10,000 FNCT(1口 4,100円) |
申込上限 | 2,000口 |
手数料率 | 8%(税込) |
手数料 | 申込金額に手数料率を乗じた金額 |
フィナンシェトークンのIEOは、当初2022年夏までに予定されていました。
フィナンシェトークンの結果
販売価格0.41円から始まり、始値は販売価格の1.5倍の0.615円に。
取扱い初日に販売価格の約7.6倍となる3.111円の高値を記録しました。
- 販売価格:0.41円
- 初日の始値:0.615円(1.5倍)
- 初日の高値:3.111円(7.58倍)
- 現在の価格:0.49円(2023年3月20日時点)
カブスルは、コインチェックで40,000FNCT当選。
始値では売らず1.2円で売却。3.1万円の利益確定となりました。
ご覧の通り、IEO(仮想通貨)は値動きが非常に激しいです。高値で購入するのはやめておきましょう。
買うなら抽選参加か始値。また、この価格で買ったとしても、いつでも売れる準備を。
抽選に参加するにはコインチェックの口座開設が必要です。
コインチェックでIEOに申し込む手順はページ下部で説明しています。
抽選はランダム抽選
トークンの売出口数を超える口数の申し込みがあった場合、抽選が行われます。
抽選はランダム抽選で、口数ごとの抽選となります。
(例)100口申し込み。うち、当選は5口など。
口数ごとに抽選と記載してあるので、申込口数が多いほど当選しやすい仕組みです。
国内初のIEOは、6万4000人超から227億円を集めました。当選倍率は24.4倍
購入申込み時に資金拘束。落選で開放
抽選申し込み完了時、申し込み口数分の金額と手数料の分の日本円がロック(拘束)されます。
抽選で落選すると、落選した分の日本円の拘束を解除。
- 当選分・・・当選した口数分の金額 + 手数料が拘束される。
- 落選分・・・落選した口数分の金額 + 手数料分の金額が口座に戻る
フィナンシェトークンは1口 4,100円。手数料率は8%。
10口申し込む場合、かかる手数料は41,000円×8%= 3,280円。拘束される日本円は、合計で44,280円。
3口当選した場合、落選分の7口分の金額+手数料は口座に戻ります。
同様にフィナンシェトークンでも、落選分の購入資金+手数料は返金されました。
申込みのキャンセルは不可
IEOに申し込み完了後のキャンセル、および申込口数の変更はできません。(追加購入も不可)
代表はgumi創業者の國光氏
株式会社フィナンシェの代表取締役の國光 宏尚氏は、株式会社gumiの創業者です。
gumiはモバイルオンラインゲームの企画・開発・運営を行っている企業。
2014年12月に東証一部に上場。
当サイト「庶民のIPO」は、IPOを取り扱っているWebサイト。
2005年からIPOを見続けています。
gumiも知っておりますが・・・上場ゴールという悪い印象で記憶に残っております。
- 2014年12月18日:東証一部へ上場
- 2015年3月5日:2015年4月期の業績予想13.2億円の黒字予想から一転、4億円の赤字へと下方修正(上場後わずか二ヶ月半で下方修正)
- 2015年3月6日:運転資金のための30億円の銀行借り入れを1月末にしていたことから、業績悪化は見通せていた可能性あり
- 2015年3月19日:その二週間後、韓国の子会社で私的横領の疑いが発覚
- 2015年3月27日:全体の1割強にあたる100人の希望退職を募る
ご覧の通り、株価は上場以来、低迷。
上場後に悪材料のプレスリリースが立て続けに続き・・・gumiは上場ゴールの代表格となっております。
ちなみに、gumiの主幹事は野村證券。
この頃の野村證券主幹事案件で上場ゴールとなるような企業が多かった為、個人投資家から非難が。
野村證券は2015年に「今年はIPOで信頼を損ねるようなことはしない」と異例の宣言。
「上場ゴール」の最悪IPO“gumiショック”の波紋週刊ダイヤモンド
応募は仮想通貨市況も踏まえて考慮を
コインチェック第一弾のIEOが大成功したことにより、第二弾にも注目が集まっています。
カブスルも実は小額だけ参加しようか迷っているのですが、下記の点を考慮する必要があると思います。
- コインチェックIEO第一弾が好評だった(最高値で買値の11倍に)
- 60分で調達目標金額を突破
- 株式会社フィナンシェへの信頼性(代表はgumiの創業者)
- 手数料8%の負担。利益は雑所得に
- GMOコインのIEO第一弾(国内第二弾のIEO)でトラブル発生
- 仮想通貨市況がやや好転してきている
申込終了は、2023年3月7日(火)の12時となっています。
IEOは投機的な側面が強いので、申込むにしても小額が良いかもしれません。
下記にて2021年7月の第一弾IEOのことについて書いていますので、そちらも参考にしてみてください。
IEO第一弾:HashpaletteのIEO
国内初のIEOの内容はこちらです。
項目 | 内容 |
---|---|
発行者 | 株式会社Hashpalette |
発行トークン | Palette Token(PLT) |
取扱開始 (上場日) |
2021年7月29日 12時 |
総発行枚数 | 1,000,000,000枚 |
販売総数 | 230,000,000枚 (総発行枚数の23%) |
売出総額 | 9億3,150万円 |
販売価格 | 4.05円/PLT |
申込単位 | 1,000PLT(1口 4,050円) |
申込上限 | 2,400口 |
手数料率 | 8%(税込) |
手数料 | 申込金額に手数料率を乗じた金額 |
発行・販売されたトークン(PLT)は、マンガ・アニメ、スポーツ、音楽をはじめとするコンテンツのためのブロックチェーンプラットフォームである「パレット(Palette)」において利用可能です。
(HashpaletteのWebサイトより)
Hashpaletteの結果
販売価格4.05円から始まり、始値は販売価格の1.48倍の6円に。
取扱い初日に販売価格の約11.5倍となる46.129円の高値を記録しました。
- 販売価格:4.05円
- 初日の始値:6円(1.48倍)
- 初日の高値:46.129円(11.38倍)
- 現在の価格:10.53円(2023年3月20日時点)
カブスルは、コインチェックで1,000PLT当選。
上場日に売らず後日 81円で売却。7.6万円の利益確定となりました。
抽選に参加するにはコインチェックの口座開設が必要です。
IPOとIEOの違いで注意したい点
資金調達までの流れは、大体IPOと似ているところがありますが、IEOで注意しておきたい点です。
参考までに
- IEOの今後は不透明
IEOが国内で行われるのは初。初ということで過去データがありません。
先行き不透明によるリスクがIPOより高いので、余裕資金内で行うようにしましょう。
※IPOの場合、勝率(利益になる可能性)が高いのがデータででています。 - 手数料に注意!
当選した口数分の手数料が発生します。(8%)
申込口数が多ければ多いほど当選しやすいですが、手数料のことは考慮しておきたいです。
※IPOの場合、購入に手数料は発生しません。 - 流動性に注意!
IEOの場合、売買できる取引所などが限られるかもしれません(下記の質問参照)
流動性(売買の活発度)が低いと、売りたいときに売れなくなるリスクがあります。
取引所であるCoinceckの本人確認済みの口座は132万超。
※IPOの場合、各証券会社でIPO株を売買できます。 - 損益は雑所得
暗号資産の損益は、「雑所得」となり「総合課税」の対象となります。
累進課税制度が適用され、所得金額が大きいほど税金の負担が大きくなります。詳しくは下記で説明。
※IPOの場合、他の株式投資の損益と損益通算ができます。
国内初のIEOなので不明な点もあり、判明次第、このページに追記していきたいと思います。
無理やりIPOとIEOを例えるなら、
- IPOは、トヨタのガソリン車
- IEOは、スタートアップ企業の空飛ぶ自動車
IPOは過去の実績や信頼感あり。
IEOはまだ半信半疑。多少は事故る覚悟も必要かも…
カブスルの憶測ですが、最初はモノ珍しさで参加者が多いと思います。その後どうなるかはいまのところ不透明。
参加するにしても、様子見程度がオススメ。カブスルも少額で参加します。
コインチェックへIEOに関して質問
IEOに関して個人的に不明な点があるので、コインチェックへ下記の質問(確認)をしています。
赤字が返答内容。一部、カブスルで省略。
- Palette Tokenを取引できる交換所は、コインチェックのみでしょうか?
他の交換所でも取引可能になるのでしょうか?
国内初の事例で取り扱いを行っているため、行政と連携を取りながら進めております。
詳細はホワイトペーパー(06|PLTについて)をご参照ください。 - 株式会社Hashpaletteが倒産した場合、Palette Tokenの価値はゼロでしょうか?
誠に恐れ入りますが、万が一破綻した場合、その時の状況等によりますので、現時点では回答致しかねます。
仮想通貨は税金面で利益確定しづらい
仮想通貨の利益は「雑所得」となり「総合課税」の対象となります。
累進課税制度が適用され、所得金額が大きいほど負担が大きくなり、住民税と合わせて15%~55%の税金が発生します。※住民税は一律10%
所得金額による所得税率はこちら。※2021.12.20時点
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円超900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円超1,800万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円超4,000万円以下 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円超 | 45% | 479万6,000円 |
総合課税は給与所得なども合算されます。
暗号資産の売買(IEO)で大きな利益がでそうな場合は、税理士さんに相談されても良いかもしれません。
暗号資産は税金面で株式投資より不利な点が多いため、利益確定しづらいという側面があります。
株式投資(IPO)は、確定申告で「分離課税」が選択できます。
また、特定口座/源泉徴収あり にしておくと確定申告をする必要もありません。(してもOK)
- 分離課税とは、ある特定の所得のみを分離して、他の所得とは合算しない課税方法。
株式投資(IPO)は分離課税が認められています。 - 総合課税は、いろいろな所得を合算して課税する方法。
暗号資産(IEO)は総合課税に。
IEOを取り扱うコインチェックとは?
コインチェックは、ビットコインやリップルなどの仮想通貨(暗号資産)を売買できるサービスを展開。
土日関係なく、24時間いつでも仮想通貨を500円から購入、売却できます。
カブスルもコインチェックで、ビットコインとイーサリアムを保有しています。(姉妹サイトの記事)
仮想通貨取引所はいくつかありますが、コインチェックは東証一部上場のマネックスグループ(8698)が2018年に買収し、その後主要株主となっているのが特徴であり強みです。
2021年7月1日から、新たにIEOの取扱いを開始。(Coincheck IEO)
IEOもコインチェックに口座開設すれば、抽選に申し込むことができます。
アプリで本人確認を行うと、審査後すぐに利用することができます。(郵送の場合は数日)
ちなみにコインチェックは、マネックスグループの松本社長が上場を名言しています。
コインチェックでIEOを申し込む手順
コインチェックでIEOに申し込む手順です。
申し込み口数分の金額と手数料分の、日本円の入金が必要になります。
10口申し込む場合、かかる手数料は40,500円×8%= 3,240円。申し込みに必要な日本円は、合計で43,740円。
入金方法は、銀行振込やクイック入金が用意されています。(カブスルはPay-easyでクイック入金)
ログインし、IEOをクリック
ログインして、画面左にある「IEO」をクリックします。(パソコンの場合)
抽選の申し込みの概要を確認し申込み
抽選の申込時に「IEOの利用についての注意事項」を読んで確認しましょう。
同意できる内容であればチェックをいれます。
チェックボックスはもうひとつあり、「余裕資金は100万円以上で暗号資産取引経験あり」という内容です。
100万円以上という金額は口座内の金額ではなく、ご自身で余裕資金が100万円以上あるか確認してくださいとのことです。
2つのチェックボックスを確認し、OKであればチェックを入れて「抽選申し込みへ進む」をクリックします。
暗号資産を取引したことがない方、余裕資金がない方は、参加するのをやめておきましょう!
申込口数を入力して抽選を申し込む
申込口数を入力すると、払込金額が表示されます。
- 払込金額:申込金額と手数料の合計金額。
- 内手数料:払込金額のうち、手数料の金額。
申込み内容の確認
申込内容を確認して申込みます。
申込みが完了したら、抽選日を待ちます。
コインチェックでIEOを売る手順
ログイン後、「現物取引」から売りたい暗号資産を選択。
- 売りたい暗号資産を選択。
- レート(売りたい価格)を設定。右側の板情報がレートの参考に。
- 注文量(売りたい数量)を設定。
- 売りを選択。(間違って買いにしないように)
- 注文するをクリック。
カブスルの当選IEO
カブスルのIEO当選履歴です。
カブスルは、国内初のIEOであるパレットトークンに50口申し込んで1口の当選でした。
上場日に売らず、後日 売却。
フィナンシェトークンは46口申し込んで4口の当選。上場日に売却。
当選IEO | 申込倍率 | 数量 | 購入価格 | 売却価格 | 損益 |
---|---|---|---|---|---|
パレットトークン(PLT) | 24.11倍 | 1,000 | 4.05円 4,374円 |
81円 81,000円 |
+7万6,626円 |
フィナンシェトークン(FNCT) | 8.7倍 | 40,000 | 0.41円 17,712円 |
1.2円 48,000円 |
+3万288円 |
落選した49口分の購入資金+手数料の21万4,326円分は返金されています。
4,000円で購入した暗号資産が、約20倍の7.6万円になりました。
暗号資産は、価格の上下が激しいです。
暗号資産は流動性(売買の活発度)がなくなったらオシマイですので、早めに売却しました。
IPO同様、プライマリー(抽選で購入)は損失リスクが低いですが、セカンダリー(上場後に購入)投資は、値動きが激しくリスクが高い取引となりそうです。