初値予想の意図は?予想が低いのでは?
庶民のIPOの初値予想が低いのでは?といったご意見を、ごくたまにお受けします。(良くも悪くも)
それにお答えする為に、庶民のIPOで初値予想をつけている理由(意図)を、説明させて頂きます。
目次
初値予想は初心者のブックビルディング参考のため
庶民のIPOは、IPO初心者や株初心者を対象に運営しており、なるべく分かりやすい説明を心がけています。
IPOに参加するには、ご自身でIPOを行う企業の目論見書(事業内容やIPOの条件など)を読み、買いたい!と思った企業のブックビルディングに申込みます。
ただ、IPOや株をはじめたばかりの初心者に、この作業は難しいです。
また、調べるのに時間を取れない方も多いかと思います。
そこで、庶民のIPOではIPOを行う企業に五段階評価と初値予想をつけ、初心者や時間がない方にも、パッと見で参加判断ができるようにしております。
カブスルのIPO投資歴19年(株式投資歴は20年)
これまでのIPO参加の経験とデータを参考に、評価と初値予想をつけています。
また、個人投資家として、対象企業の株を買いたいか?も考えて評価しています。
なんで初値予想が低いの?
「保守的な予想」にしていますが、低くしているわけじゃーありません。(ニュアンス伝わるかな…)
初値予想を低くしてやろう!ヒッヒッヒ…
なんて考えて、ワザと低くしていません。
保守的な予想にしている理由はコチラ。
- 人気がないIPOは、公募割れのリスクを伝えたい。
- 人気が高いIPOは、余計なあおりをしない。
- 初値予想はブックビルディング前に実施。20日後の市況は分からない。
IPOの申込みに慣れていない初心者用に初値予想をだしています。
また、損失リスクが少しでもあるものは、声を大きめにして損をするかも?と発信しています。
初値予想はカブスルの身内や親戚も見ています。
親戚のおじちゃんに見せても安心の初値予想を出しています。
理由について ひとつずつ説明したいと思います。
人気がないIPOは、公募割れのリスクを伝えたい
最初に、初値予想は初心者のために行っていると書きました。
IPO株は、適正価格よりも低い価格にディスカウントされた価格で上場します。よって、大抵のIPOは公開価格で購入し、初値で売却すれば利益を得られます。(2019年は86社が上場し、76社の初値が公開価格を上回る)
ところが、一部のIPO株は人気がなく、初値が公開価格を下回ります。(2019年は9社)
つまり、損失がでます。
損失がでやすいIPOには特徴があります。(これまでの経験とデータにより把握)
ブックビルディングの参加判断が難しいIPO初心者に、公募割れのリスクがありますよ~!損失リスクも覚悟してくださいね~!と注意喚起をするために、マイナスを含めた初値予想を出しています。
IPOの初値は市況にも左右されるので、初値予想が当たるかどうかは分かりません。
でも、マイナスの予想がついていたら、「あれ?マイナス??申し込まない方がいいかな?」なんて考えるんじゃないでしょうか。
余計な損失を出さぬよう、また いったん参加の可否を考えて欲しい為、不人気だと思われるIPOにはマイナス予想を出しています。
庶民のIPOでマイナス予想をつけているのは、評価が「D」や「C」と低いものです。
人気が高いIPOは、余計なあおりをしない
IPOにもトレンドがあり、人気がでやすい事業内容やテーマが年ごとにあります。
例えば、2020年~2019年はAI(人工知能)開発系に人気があり、2013年は医療系のIPOに人気がありました。
人気IPOは初値が公開価格の2倍になることがザラにあり、市況によっては3倍・4倍・5倍と高くなります。
勢いのあるIPOを見ていると、初値予想も高くつけたくなりますが、下記の2点によりグッと抑えております。
- 初値予想を下回った時に、不要な残念感をあたえる懸念あり。
- 上場日の市況が分からない。(ブックビルディング前に初値予想)
超人気IPOの初値予想を考えてみます。
- 保守的な初値予想
初値予想を公開価格の2倍~3倍に設定。 - 強気の初値予想
初値予想を公開価格の4倍~5倍に設定。
初値が公開価格の2倍だった場合と、5倍だった場合を考えてみます。
- 初値が公開価格の2倍だった場合
- 保守的な初値予想
初値予想アタリ。特に感想なし。 - 強気な初値予想(4倍~5倍)
初値が2倍になり利益がでているが予想より低く、当選者が損した気分に…
- 保守的な初値予想
- 初値が公開価格の5倍だった場合
- 保守的な初値予想
初値予想ハズレ。でも当選者は予想より高い利益になり喜び倍増。 - 強気な初値予想(4倍~5倍)
初値予想アタリ。特に感想なし。
- 保守的な初値予想
訪問者(IPO当選者)に余計な残念感を与えるくらいなら、庶民のIPOは当たらない!と思われたほうがいいので、保守的な予想を選択しています。
また、次に紹介する初値予想のタイミングも保守的になる理由です。
初値予想はブックビルディング前に実施。20日後の市況は分からない
初値予想はIPO参加・不参加の判断のひとつになるように、ブックビルディング開始前に掲載しています。
ブックビルディングから上場までの流れ。
- IPO新規承認 ← 仮条件までに初値予想を出す。
- 仮条件決定 ← 仮条件が想定価格と違った場合、ココで修正する。
- ブックビルディング開始
- 公開価格決定(抽選)
- 購入期間
- 上場日
基本的には、上記のタイミングで初値予想をだしています。
IPOの初値は事業内容やIPOの内容、市況に左右され決定します。
早いタイミングで初値予想をだしているので、上場日までに市況が変わっている場合があります。
例として、モダリス(4883)の場合。
- IPO新規承認 6/26 ← 仮条件までに初値予想を出す。
- 仮条件決定 7/10 ← 仮条件が想定価格と違ったので修正。
- ブックビルディング開始 7/14~7/20
- 公開価格決定(抽選) 7/21
- 購入期間 7/22~7/29
- 上場日 8/3
モダリスの場合、7/10に初値予想を仮条件に合わせて修正。
修正した初値予想から、上場日まで23日間も時間が空いています。
約20日後の市況を予想するのは非常に難しいというのは、なんとなくお分かりいただけるんじゃないかと思います。(翌日の市況予想ですら難しい)
みなさんの初値予想も是非参考に
庶民のIPOは、とっっっっても有難いことに、訪問者のみなさまも初値予想をしてくれています。
IPO初心者の方は、訪問者の方の初値予想も是非 参考にしてみてください。
ちなみに、庶民のIPOではなく、カブスル個人の胸に秘めた初値予想は、みなさんの読者予想に近いです。
とはいえ、これまでの理由により、掲載している初値予想は保守的にしています。
家庭内では当選したIPOについて、〇倍になるんでは!と妻と予想しています。(コッチは強気予想)
初値予想と将来予想は別モノ
庶民のIPOの初値予想は、あくまでも初値に対する期待値です。
将来的な株価を予想しているものじゃありません。
- 将来性抜群!業績は赤字。VC多くロックアップなし。調達金額も大きく、初値は上がりづらい。
→ 未来の株価への期待値は高いけど、初値予想は低くなる。 - オファリングレシオが低い。調達金額も小さく、需給的に初値が上がりやすい。
→ 初値予想は高いけど、将来的に株価が上昇するとは限らない。
IPOは企業の事業内容や将来性だけで初値が決まるのではなく、需給や市況など総合的なもので決まります。
IPOの株価は、下記の要因などで決まります。
- 短期は需給(流動性)
- 中期は事業内容(将来性)
- 長期は業績(数値がすべて)
公開価格が決まるまでの流れを理解しよう
IPOの承認から上場までの流れをおさらいしましょう。
- 「1」IPOの承認
IPOの承認時に、想定の価格を決めます。
主幹事を中心として同業他社などの価格や市況を参考に決定。 - 「2」仮条件の決定
価格の算定能力が高い機関投資家へのヒアリングを行いながら、仮条件を決定。
なお、IPOディスカウントにより適正価格より2~3割安い価格に設定される。 - 「4」公開価格(公開価格)の決定
ブックビルディングの申告状況や市況を考慮して公開価格を決定。
こちらが、IPOの価格が決まるまでの流れです。
価格の算定能力が高い機関投資家や主幹事が価格を決定しています。
また、価格を2~3割安く設定しているので、普通に考えれば、初値は2~3割上昇するのが適正です。
では、何故、2~3割の価格帯に初値が収まらないのかというと、それが相場だから。
個人、機関投資家の思惑や市況(需給)などにより初値や初値後の株価が形成されていきます。
さらにいうと、株価は、1株あたりの純利益(EPS)× PER(株価収益率)で決まります。
株価が2倍になるということは、本来はEPSが2倍になることも見込まないといけない。
参考までに
勘違いされている方も多いですが、上場企業にとって大事なのは資金の調達額。
初値よりも公開価格が高い方が、より多くの事業資金を得られます。
理想は、初値が公開価格より2~3割UPでついて、その後ゆるやかに株価が上昇していくこと。
初値が高くて喜んでいるのは、公開価格(プライマリー)で手に入れた投資家などです。
初値が高くて当たり前だと思っている方は、下記の記事なども読んでみてください。
初値予想に対する質問とクレーム
初値予想に関する質問とクレームです。(クレームは返信できない投書が多いです…)
質問のクリックで返答が展開します。
上場日直前の初値予想はしないの?
ブックビルディングの参加・不参加の参考のひとつとして、初値予想を行っております。
上場日直前の初値予想は行っておりません。
なお、株式新聞さんで上場日直前の初値予想を行っておりますので、参考にしてみてください。
初値予想は仮条件決定後は変更しないの?
コロコロと初値予想を変えると訪問者を混乱させてしまうので、出来るだけしないようにしています。
ただし、公開価格が仮条件の下限で決まるなど、損失リスクが高まった場合は、「購入期間中に購入・辞退を検討できる」ように、評価と初値の修正を行う場合があります。
〇〇ブログの初値予想と違うけど?
他の運営者のことは分かりません・・・。
IPO歴や考え方が違うと、予想も変わるかと思います。
なお、他ブログの初値予想も見たことありますが、大手の初値予想(有料情報)と同じ、または準拠(±20円くらいズラす)している予想が多いかと思います。
最終的にはご自身で判断して、ブックビルディングの参加・不参加を考えてみてください。
有料レポートの初値予想は当たる?
機関投資家へのヒアリングや取材力は、有料誌の方が当然 優れていると思います。
当たるというのがピッタリという意味でしたら、当たりません。
結局は市況に左右されます。(プラス予想だったのが、結果 マイナスなど)
カブスルは株式新聞さんだけ購読しています。(最近、無料で見られるように)
なお、株式新聞さんは見ていますが、株式新聞さんの初値予想は上場直前のみです。
ブックビルディングの参加指標(強気・弱気)は発表されますが、庶民のIPOは その発表前に評価と初値予想をつけています。つまり、参考にしていません。
初値予想が低いけど、もっと高値をつけるのでは?
そう思うIPOも当然あります。
ただし、これまでに説明した通りで、個人の胸に秘めた予想と、庶民のIPOの予想は違います。(保守的に予想)
自分でいうのもなんですが、株式投資歴は20年。
相場の流れやIPOへの期待値は、ある程度 分かっています。
初値は10倍になる!などという意見も一度だけ来ましたが、その初値予想、同業他社の指数と比較していますか?
何故、そのIPOだけ同業他社より割高になるのか説明できますか?
初値予想が低いけど、外れたら恥をかくのでは?
これまでに説明した通りです。
初心者のブックビルディング参考という明確な目的をもって行っていますので、恥をかくことはありません。
※初値予想が低いと困る方からの投書だと思われます。(証券マンやIPO関係者と推測)
しかし… 凄いことをいいますね(苦笑)
初値予想が低い!やめちまえ!
これまでに説明した通りです。
IPO初心者の参考になると思いますので、継続させて頂きます。
※初値予想が低いと困る方からの投書だと思われます。(証券マンやIPO関係者と推測)
単純な疑問なんですが、何故 初値予想が低いと怒るんでしょうか?(困惑)
ヒョっとして、将来的な株価予想と勘違いしているんでしょうか。
ちなみに、庶民のIPOで「C」や「D」の低評価のIPOがある場合に、初値予想が低い!といったクレームが年に一度くらい来ます。
その後の結果を見ると、やはり公募割れ・・が多いです。
予想は人それぞれなので、「それは違う!」という意見はごもっとも。
できれば、その理由も添えて下さい。
以上、初値予想を保守的にだしている理由でした。
初値予想に関するお礼メールも、ありがたいことに たまに頂いております。
これからも初心者目線で初値予想をだしていきたいと思います。
疑問点やクレームがある場合は、是非 返信可能なお問い合わせからご連絡ください!