IPOの上場日に初値がつかないってどういうこと?
IPOの上場日に初値がつきませんでした。
「買い気配」のまま終わったというのは どういうことですか?
買い注文が多く、2日目以降に初値が持ち越された状態です。
圧倒的に「買い注文」が売り注文より多い場合、上場日に初値がつかないことがあります。
上場日の初値には上限価格があり、その価格を超える買い注文がある際は、翌営業日に初値が持ち越しとなります。また、この状態を買い気配のまま上場日初日を終えたとニュースなどで表現されています。
もう少し詳しく解説します。
目次
株価は買いたい人と売りたい人のバランスで決まる
まず、株式投資の基本的な仕組みから確認していきましょう。
株式は「買いたい人」と「売りたい人」が存在し、その仲介を行っているのが証券会社です。
図の場合、5万円で買いたいAさんと、5万円で売りたいBさんの条件が合うので売買が成立します。
需要と供給(需給)が合った状態で株式は取引されます。
注文のバランスが崩れていると「特別気配」に
どちらか一方の注文に多く偏っている場合、「特別気配」になり売買が一時停止されます。
この時、株板で動いている株価は取引されているわけではなく、気配値と呼ばれる価格になります。
ワンポイント
特別気配になりやすい状況。
- 人気IPOの上場日
買い注文が圧倒的に集まり、買いの特別気配に。 - 会社が倒産間近
売り注文が殺到し、売りの特別気配に。
特別気配に関しては株式サイトで詳しく紹介していますので、そちらの記事も参考にしてみてください。
IPO「RPA HD」の場合
カブスルが当選したRPA HDの上場日のスクリーンショットです。
(マネックス証券で朝9時に撮りました)
株価3,570円で、買い注文の方に「特」の文字がついています。
(売買注文は出せますが、取引は一時停止となっています)
3,570円の欄を見ると買い注文が売り注文の8倍近くあります。
- 買い注文:819,600株
- 売り注文:102,100株
買いたい人と売りたい人のバランスがとれる株価まで売買を一時停止し、株価を切り上げていきます。
1時間後の10時の株価。1時間後の気配値は、株価が切り上がり4,650円となっています。
買い注文の方がまだ8倍近く多いので、特別気配は続行され 気配値が更に切り上がっていきます。
上場日の上限価格と、切りあがる株価の幅(値幅)、更新時間は決まっています。
詳しくは下記の参考記事にて。
終値まで特別気配が続くと、初値が翌営業日に持ち越される
買い注文が圧倒的に多い状態(特別気配)で、取引時間終了(15時)まで続くと、上場日に初値がつかず翌営業日以降に持ち越されます。
この状態が、ご質問にあった「買い気配のまま上場日を終えた」という状態です。
評価が高い「S」や「A」など、人気のあるIPOでは良くみられる状況です。
参考までに
カブスル当選の比較.comも、上場日から3営業日目に初値がつきました。(IPOの当選実績)
人気のあるIPOの場合、特別気配が2営業日、3営業日目と続いていきます。
つまり 当選した場合は、利益がどんどん膨らんでいきます(  ̄∇ ̄)
上場日の初値の上限価格は決まっている
上場日の初値の上限価格は決まっており、この価格を超える買い注文がある場合、上場日に初値がつきません。
初値の上限価格は、当日の気配値上限価格+通常の更新値幅分だけ高い値段まで成立可能です。
やや分かりづらいので短い動画でも説明しています。
初値の上限価格は上場日に下記のページまたは個別のIPOページに掲載しています。
翌営業日から即金規制が行われる
初日に初値がつかなかった場合、翌営業日から「即金規制」がかかります。
即金とは「お預り金」や「現金残高」などのすぐに出金できる金額です。
規制なので、この金額内でしか購入の注文が出来なくなります。
即金規制がかかると買い注文が抑えられ、初値がつきやすくなります。
即金規制がかかった状態でも初値がつかないIPOは、買い注文の勢いがもの凄く高いIPOになります。
たまに見受けられますが、見てて面白いです。
上場2日目に突入した場合、指値注文の価格はどうすればいい?
2営業日目に突入ということは、利益が見込めるIPO株になります。
初値売りをしたい場合、公開価格で売りの指値注文をしておけば大丈夫です。
初日の気配値を考慮して希望価格を決めたい場合は、ご自身で希望価格を決めてください。
有効期間を当日に指定した指値注文は再注文しよう
指値の売り注文の有効期間を当日にしている場合、指値注文をしなおしましょう。
当選IPOを初値売りしたい場合、有効期間を当日のみにすると、注文をしなおす手間が発生するので、なるべく長い期間にしておくのがおすすめです。
売り気配で終わるIPOも稀にある
これまで買い気配で翌営業日以降に初値がつくIPOを紹介してきましたが、ごくまれに売り注文が殺到し売り気配で翌営業日以降に初値がつくIPOがあります。
- 2018/12/21 ポート(7047)
公開価格:1,480円、初値:930円
騰落率:-37.16%
初値売り損益:-5.5万円 - 2008/10/27 リニカル(2183)
公開価格:1,000円、初値:610円
騰落率:-39.00%
初値売り損益:-3.9万円
ご覧の通り、売り気配で終わるIPOはごくまれです。
市場からの調達金額が大きく、株式市況が悪く、業績が悪いなど人気がないD評価のIPOが損失リスクが高くなっています。
上場日の初値売りに関する質問と返答
上場日の初値売りに関する質問とその返答です。(質問文のクリックで返答が開きます)
売りの指値注文の価格の上下や注文時間の早さで初値売りの価格は変わる?
いいえ。初値はみな同じ価格で約定します。優先順位はありません。
初値より下の価格で指値売り注文したら、他の人より下の価格で約定する?
いいえ。初値は買い注文と売り注文が一斉に約定します。
人によって初値売りの価格が変わることはありません。
初値が公開価格を上回るかどうか、どう調べればいいですか?
上場日の8時以降の株価ボードをみると、大体わかります。
条件付き注文で上場日の成行注文を選択できるんだけど?
注文画面で成行注文を選択できても、成行注文は禁止されていますので売買が成立しない可能性が高いです。
上場日は成行注文を条件に設定しないようにしましょう!
なお、本来はシステムでエラーチェックすべきですが、各証券会社の対応は大変かな・・と感じております。