IPO投資とは上場前の割安株を購入し上場後に売る投資法
IPOとは、企業が上場し市場に株式を公開することです。読み方はアイピーオー。
IPOによって公開される株(IPO株)を、上場前の割安価格で購入し上場後に売却することで、売買の差額の利益を得る投資をIPO投資と呼びます。
庶民のIPOの運営者はIPO投資歴19年。IPO投資だけで1,810万円の利益を得ています。
IPO投資は、投資をはじめたことがない初心者でもカンタンに参加できることから人気があります。
はじめて耳にする方のために、IPO投資のメリット(魅力)とデメリット(損失リスク)について紹介します。
なお、筆者(カブスル)は実際にIPO投資を行っており、IPO初心者の質問にお答えしています。
日々、お問い合わせやTwitterにてIPOの質問を受けています。
目次
IPOとは上場すること
IPOは「Initial Public Offering」の略で、日本語にすると「新規株式公開」になります。
未上場の企業が株式市場に上場して、一般の投資家に株式を売り出し、事業資金を調達します。
調達した多額の資金を、事業拡大のための設備投資や人件費、負債の返済など様々な用途に活用します。
IPOを、わかりやすく言うと上場になります。
IPOという言葉は聞きなれなくても、上場という言葉はニュースや誌面などで聞いたことがあるのではないでしょうか。
年間、約90~100社の企業が上場(IPO)しています。
最近、IPOを行った知名度の高い企業はこちら。
上場日 | 会社名 | 上場前 の価格 (公開価格) |
上場後 の価格 (初値) |
初値売り の利益 |
---|---|---|---|---|
2024年 10月 |
東京メトロ | 12万円 | 16.3万円 | 4.3万円 |
2024年 7月 |
タイミー | 14.5万円 | 18.5万円 | 4万円 |
2024年 3月 |
トライアルHD | 1.7万円 | 3.2万円 | 5.1万円 |
2023年 4月 |
楽天銀行 | 14万円 | 18.5万円 | 4.5万円 |
2022年 6月 |
ANYCOLOR | 15.3万円 | 48.1万円 | 32.8万円 |
2021年 3月 |
ココナラ | 12万円 | 23万円 | 11万円 |
東京メトロに関する記事は下記にて詳しく解説しています。
東京メトロのIPOは参加がおすすめ。当選後の売り方は?IPO歴19年の投資家が解説
これらの有名企業も、事業資金を調達することをひとつの目的として上場(IPO)しています。
未上場だった企業は、上場することで事業資金を調達したり、企業としての信頼性を上げたり、自社のサービスを幅広く認知してもらうことができるようになります。
IPOと上場の違いは、IPOは上場までのプロセスのことで上場の一種(新規上場)です。
上場は新規上場のほか、既存の上場企業など広い意味になります。
IPO投資は二種類ある
IPO株を売買するIPO投資は二種類あります。
庶民のIPOで紹介しているIPO投資は、損失リスクが低いプライマリー投資です。
投資初心者や投資未経験者でもカンタンにできる投資法です。
IPO | プライマリー投資 | セカンダリー投資 |
---|---|---|
投資法 | 上場前のIPO株を購入する | 上場後にIPO株を購入する |
損失リスク | 低い | 高い |
購入タイミング | IPO時に幹事証券から割当、または抽選で購入 | 上場後、誰でも購入可 |
購入方法 | 幹事証券から公開株を購入 | 市場を通じて株を購入 |
価格の特徴 | 公開株は割安で買える可能性が高い | 需給で価格が決まるため、価格の乱高下が激しい。 公開価格より株価が上がっている場合が多い(割高) |
初心者への おすすめ |
ローリスクで誰でもできる。 投資未経験者にもおすすめ |
ハイリスクで損失リスクが高い。 初心者にはおすすめしない |
庶民のIPOでは、プライマリー投資のことをIPO投資と呼び、セカンダリー投資はその呼称を使っています。
ちなみに、プライマリーとは英語の「primary」からきており、意味は「一次的」です。
セカンダリーとは英語の「Secondary」からきており、意味は「二次的」です。
IPO投資はキケン!といった文言を目にする機会があるかもしれませんが、それはIPOのセカンダリー投資の話です。庶民のIPOでもセカンダリー投資の特徴や損失リスクについて詳しく説明しています。
IPO投資は上場前に割安で買って上場後に売却し利益を得る投資法
IPO投資は上場前の割安なIPO株を購入し、上場後に売却することで価格の差額の利益を得る投資法です。
IPO株の購入方法はのちほど詳しく紹介しますが、抽選に参加し当選することで購入することできます。
上場前のIPO株は、IPOディスカウントという調整が加わり、適正価格よりも2~3割低い価格に決まります。
また、適正とされる価格よりも割安感がある為、IPO株は上場後に上昇しやすくなっています。
上場する企業の期待感(将来性)が高いほど、上場後に株価が上昇し得られる利益も大きくなります。
IPO株で利益を得るには、証券会社に口座開設をし、上場前にIPO株を購入。上場後に売るだけです。
手軽に利益を見込めることから、IPO投資は株をやったことがない初心者にも人気があります。
- 2023年は96社が上場
- うち7割の企業で、上場後にすぐ売却した株価が上場前の株価を上回る
- 96社の平均利益は8万4,532円
IPO投資はまるで宝くじ!上場前のIPO株は抽選で手に入れる
IPO投資は、上場前の割安な株を買って上場後に売るだけで利益になりやすいので、非常に人気が高いです。
購入できるIPO株の数量はIPOごとに決まっており、抽選に参加し当選を目指します。
全体的な流れの図です。ココではそれぞれの用語を覚える必要はありません。
ざっくりと流れを確認しましょう。詳しくは参考記事にて。
IPO株は人気が高いので、抽選に参加し当選を目指します。
割安な上場前のIPO株を手にするのは運まかせ。
抽選により当選後に利益を得やすいという仕組みのため、IPO投資は宝くじのようだと表現しています。
IPO投資のメリット
IPO投資の恩恵を最大限に受けている運営者が、その魅力を紹介します。(19年間で1,810万円の利益)
IPO投資のメリットは主に3つ。
- 購入金額の「数倍の利益」を得やすい(2023年は平均で1.55倍)
- 「入金ゼロ」でもIPOに参加できる
- 投資未経験者でも「参加がカンタン」
IPO投資の魅力をひとつずつ紹介します。
なお、ページが長くなるので各項目は手短に説明し、参考ページでさらに詳しく紹介します。
説明するにあたり、下記3つの用語だけ確認しておきましょう。
- 公開価格:上場前のIPO株の購入価格
- 初値(はつね):上場後にはじめてついた株価
- 初値売り:初値で売った際の利益額。(初値-公開価格)×100株
1.購入金額の数倍の利益を得やすい
IPOは、将来性が高いベンチャー企業やスタートアップ企業が数多く上場します。
事業の新規性が高く、株式市場で投資家の注目も集めやすいため、上場前の購入価格(公開価格)より、上場後の株価(初値)が高くなりやすいです。
2023年のIPOでは、宇宙スタートアップ企業のispace(アイスペース)やVtuber事業のカバーが投資家の注目を集めました。
IPO | 倍率 | 初値売り の利益 |
---|---|---|
ispace(アイスペース) 購入金額 2万5,400円、 初値の売却金額 10万円 |
3.9倍 | 7万4,600円 |
カバー 購入金額 7万5,000円、 初値の売却金額 17万5,000円 |
2.3倍 | 10万円 |
IPOの中でも特にAI(人工知能)やビッグデータ活用などは投資家の注目を集めやすく、初値が公開価格の5倍以上になることもあります。
IPO | 倍率 | 初値売り の利益 |
---|---|---|
ヘッドウォータース 購入金額 24万円、 初値の売却金額 285.6万円 |
11.9倍 | 261万円 |
ニューラルポケット 購入金額 9万円、 初値の売却金額 51万円 |
5.6倍 | 42万円 |
AI関連は特に人気がありますが、それ以外の事業でもIPO株の初値は公開価格の数倍になっています。
2023年のIPOのうち、初値が公開価格の2倍以上になったのは16社、3倍以上は8社、4倍以上は1社、5倍以上は1社
2.入金ゼロでもIPOに参加できる
IPO投資は証券会社によっては、口座の入金がゼロでも参加できます。
松井証券や岡三オンラインは抽選資金を用意する必要がないので、気軽にIPO投資に参加することが出来ます。
抽選で当選しIPO株を購入する場合は資金が必要です。
抽選資金ゼロでもIPOに参加できますが、抽選資金を用意できるとIPO投資ができる証券会社が増えるので、抽選機会が増えてIPO投資の当選確率が上がります。
- 10万円あれば、全体の1割のIPOに参加できる
- 20万円あれば、全体の5~6割のIPOに参加できる
- 30万円あれば、全体の8~9割のIPOに参加できる
もし、銀行に預金を寝かせたままであれば、IPO投資にチャレンジしてみるのをオススメします。
ゆうちょ銀行の預金金利は0.1%と超低金利時代。
10万円を1年間あずけた場合、増える預金金利はわずか100円です。
3.株式投資が未経験でも参加はカンタン
IPO投資の申込みはカンタンで、誰でも参加できます。
- 証券会社に口座を開設する(無料)
- 証券会社からIPOのブックビルディングに参加する
- 抽選で当選したらIPO株を購入し、上場日以降に売る
庶民のIPOでは、株投資未経験の初心者でもカンタンに参加できるよう、IPO投資の申込みや当選した場合の売り方などを紹介しています。
また、IPO投資におすすめの証券会社や、口座開設の方法も紹介しています。
身内や知人にもIPO投資を勧め、庶民のIPOを見てもらっていますが、分かりやすいと好評です。
IPO投資のデメリット
IPO投資はメリットが多いですが、当然デメリットもあります。
IPO投資は株式投資ですので、株価の下落という損失リスクがあります。
IPO投資のデメリットは主に2つ。
- 購入したIPO株より上場後の株価が下落するリスク(2023年は全体の3割)
- 人気が高くIPOに当選しづらい
1.上場後の株価が下落する可能性がある
冒頭で2023年のIPOは7割の企業で、上場後にすぐ売却した株価が上場前の株価を上回ると説明しましたが、逆にいえば3割の企業の株価が下落しているということです。
2018年に上場したソフトバンクは、初値売りで3,700円の損失となりました。
会社名 | 上場前 の価格 (公募) |
上場後 の価格 (初値) |
初値売り 損益 |
---|---|---|---|
ソフトバンク | 15万円 | 14.6万円 | -3,700円 |
雪国まいたけ | 22万円 | 21万円 | -1万円 |
ベースフード | 8万円 | 7.1万円 | -9,000円 |
IPO投資で利益を出し、損失を出さないためには、どのIPOに参加するのか?が大事になりますが、株式投資未経験者では判断が難しいです。
庶民のIPOでは、IPO投資歴19年のカブスルが「S」「A」「B」「C」「D」の五段階で評価しています。
損失リスクが高いIPOの評価を「C」「D」としていますので、この評価をつけているIPOに参加しないことで、損失リスクを回避することが出来ます。
つまり、評価「S」「A」「B」のIPOにだけ参加することで、損失リスクをグッと低く抑えることが可能になります。
2.IPOに当たりづらい
IPO投資はメリットが多いので個人投資家に人気があります。
よって、公開されるIPO株の総数(供給)よりも申込み数(需要)が多くなります。
個人投資家がIPO株を購入するには、ブックビルディングに申込み抽選に参加するのが一般的ですが、人気が高いIPOほど抽選倍率は高くなります。
簡単にはIPOに当選しないというのが、IPO投資のデメリットになります。
IPO株を購入する流れ
わたしたちがIPOの抽選に参加し購入するには、証券会社の口座開設が必要になります。
口座開設は無料ですので、事前に口座開設しておきましょう。
- 証券会社に口座を開設する
- IPOのブックビルディングに参加する
- 当選したらIPO株を購入する
- 上場日に初値で売却する(おすすめ)
カブスルは21社に口座開設しており、その中でIPO投資におすすめの証券会社を紹介しています。
特に当選実績のある上位3社の口座開設はオススメです。
IPO投資に関する質問
IPO投資に関する質問です。
IPO投資は誰でも参加できますか?
幹事となる証券会社に口座開設すれば誰でも参加することが可能です。上場するIPO株は一般的に抽選により割り当てられるので、各証券会社の抽選に参加しましょう。
なお、一部の証券会社ではゼロ歳からも証券会社の口座を開設し参加することも出来ます。
IPO投資により株式を購入した後、すぐに売っても大丈夫ですか?
購入したIPO株は、上場後すぐに売却してもOKです。
質問の多い項目は、IPOの質問集に掲載していますのでそちらもご覧ください。
次項ではIPO投資の魅力について、詳しく紹介します。