IPOと立会外分売の違い
IPOに参加している投資家の中には、立会外分売にも参加している方が多いです。
ディスカウントされた株価、抽選、購入(当選)といった関係性がIPOに似ています。
用語だけみると難しそうですが、参加はIPO同様 カンタンです。
立会外分売とIPOとの違いについて、こちらで説明します。
目次
立会外分売とは?
立会外分売とは、東証などの取引時間外に不特定多数の投資家に株式を売り出す仕組みです。
上場企業の株式を、小口に分けて売り出します。
立会外(取引時間外)に小口に分けて(分売)するので、立会外分売と言います。
読み方は「たちあいがい ぶんばい」。略して「ぶんばい」と呼ばれています。
売り出す分売株は、前日の終値から2%~5%ほど割引(ディスカウント)された株価で購入することができます。
分売株式数より需要が多い場合、抽選により購入者が決定します。
抽選により購入、割安な分売株を購入後すぐに売却することで利益になる可能性が高いことから、IPOに似ています。
立会外分売を企業が行う目的
立会外分売は、主に3つの目的により行われます。
- 株式を大量に売り出したいが、株価の値下がりを防ぎたい
株式市場内で大量に売り出すと、株価が下がりやすくなります。 - 個人株主を増やしたい
小口に分けて売り出すことで、購入人数(株主)が増えます。 - 流動性を高めたい
市場に公開されている株数が多いほど、売買しやすくなります。
上場企業は、これらの目的があって立会外分売を行います。
売り出すのは経営者や銀行などの大株主です。
東証グロースなど新興市場で上場したIPOが、立会外分売を行う事が多いですがこれは、東証プライムへ市場を変更する際に、上場基準のひとつである「株主数」を増やす目的があります。
立会外分売の申込の流れ
立会外分売は、分売実施日の2週間前から前営業日に発表されます。
発表から注文までの流れは次の通りです。
SBIネオトレード証券HPより
各証券会社の立会外分売のページから、注文します。
立会外分売は、割引された株を買うことで利益がでやすい
立会外分売は、実施日の前日終値より、2%~5%ほどディスカウント(割引)して販売します。(投資家の購買意欲をかきたてる為)
割引により投資家は、前日の終値より安く購入することが出来るので、利益がでやすくなります。
2023年は62社が立会外分売を実施し、50社の企業が分売価格より分売日の始値が上昇しています。(全体の80.6%)
株価が前日より高くなるのはもちろんのこと、割引率より低い下落率であれば利益になります。
ワンポイント
前日の終値が1,000円。立会外分売で970円(3%引き)で100株購入。
翌日の株価が、下記の場合。
- 前日より株価が2%高くなる
1,020円で売却すると、5,000円の利益に - 前日より株価が2%低くなる
980円で売却すると、1,000円の利益に - 前日より株価が5%低くなる
950円で売却すると、2,000円の損失に
割引率が高い分売株ほど、損失リスクは低くなります。
★ 2023年の立会外分売の割引率と実績
立会外分売の実績
立会外分売は割引価格で購入できるのがメリットです。
立会外分売の実績を見ると、利益がでやすい仕組みであることがお分かりいただけると思います。
最新の実績と予定は下記のページで紹介しています。
また、データページでは、割引率による損益などこれまでの実績をデータ化しています。
購入手数料が無料
購入時の取引手数料は無料です。
売却時は、各証券会社の取引手数料が発生します。
取引手数料は、下段の手数料の比較で行っていますので、参考にしてみてください。
立会外分売はIPOより当選しやすい!
立会外分売は、サービスを取扱っている証券会社から毎回 申込めます。
また、立会外分売の実施回数はIPOより多いです。
例えるならIPOは宝クジ、立会外分売はその場でわかるスクラッチのようなものです。
- | 実施回数 2023年 |
複数当選 | 最大利益 | 申込証券 |
---|---|---|---|---|
立会外分売 | 62回 | しやすい | 小さい | 取扱いしている証券会社から毎回申し込める |
IPO | 96社 | しづらい | 大きい | 幹事証券のみ |
Twitterでは、立会外分売の当選報告を多く目にします。
ただ、IPOより当たりやすいといっても、カンタンに当たるわけではありませんが。
立会外分売は100株あたりの利益額は小さいですが、複数当選すると利益は2倍3倍と当選数に応じて大きくなります。(損失も複数分)
2019年11月から参加。カブスル一家の当選回数は84回。33万4,877円の利益です。(エクセルは別ページでダウンロード可)
カブスルのみ、分売の利益で配当株を1株ずつ買う事にしました。(コラム)
立会外分売を扱っている証券会社
立会外分売の株を購入するには、立会外分売サービスを行っている証券会社の口座開設が必要になります。
IPOと違い幹事証券がないので、取り扱っている証券会社から毎回 申し込めます。
証券 会社 |
注文時間 手数料 |
特徴 |
---|---|---|
松井証券 | 8:30 無料~ |
IPO同様、1人1票の公平抽選。 実施当日の8:30まで注文可能なのでギリギリまで考えられる。 一日定額制で50万円以内であれば取引手数料は無料。 2,000ポイントがもらえるお得なタイアップ企画中! カブスルの当選回数は22回 |
SBIネオトレード証券 | 8:30 無料~ |
立会外分売を推している証券会社。 実施当日の8:30まで注文可能なのでギリギリまで考えられる。 一日定額制で100万円以内であれば取引手数料は無料。 約定と失効の両方のメールが届くので便利。 カブスルの当選回数は9回 |
マネックス証券 | 8:20 55円~ |
IPO同様、1人1票の公平抽選。 約定するとすぐにメールが届く。 カブスルの当選回数は23回 |
岡三オンライン | 8:00 無料~ |
2022年9月20日から取り扱い開始で穴場の証券会社! 現金3,500円がもらえるお得なタイアップ中! |
楽天証券 | 8:20 無料~ |
ゼロコースで取引手数料が無料に。 カブスルの当選回数は14回 |
SBI証券 | 8:20 無料~ |
電子交付サービス利用で取引手数料が無料に。 独自の立会外トレードもあり。 現金2,000円がもらえるお得なタイアップ中! カブスルの当選回数は15回 |
野村證券 | 2:00 152円~ |
実施当日の2:00まで注文可能。 つまり、分売日の前夜に注文しておく必要あり。 カブスルの当選回数は1回 |
みずほ証券 | 2,750円~ | コールセンターと取引店のみで受付。ネット不可。手数料がネックに。 |
各証券会社の立会外分売の、注文受付時間や配分方法、手数料などの詳しい情報は、下記の参考記事で紹介しています。
立会外分売のデメリット
立会外分売も株式投資なので、分売価格よりも翌営業日の始値が下がり、損失を出すデメリットがあります。
2023年の場合、立会外分売62回 実施され、8回は下落(全体の12.9%)
立会外分売には、人気があるタイプと人気がないタイプがあります。
- 流動性が高いか、低いか(取引が活発な方が人気)
- 割引率は?(割引率が大きい方が人気)
- 立会外分売を行う目的は?
- 直前の株価の値動き
人気があると利益がでやすく、人気がないと損失を出しやすくなります。
庶民のIPOでは、参加の目安になるよう、立会外分売を実施する銘柄を五段階で評価し、コメントをつけています。
★ 2023年の立会外分売の評価と実績
評価の低い立会外分売に参加しないことで、損失リスクを減らせます。
朝が慌ただしい
個人的な感想として、当日の朝が慌ただしいです。
- 注文の受付時間は、遅い証券会社で当日の8:30まで
- 買えたか(約定)が分かるのは、8:50ころ
- 市場開始は9:00
「2」約定確認 → 「3」始値での売却までの時間が短いです。(10分間くらい)
株はいつ売ってもいいんですが、始値で売りたい場合は確認から売却までの時間が非常に短いです。
IPOの場合、「抽選に参加→当選→翌営業日以降に購入→上場日に売却」と、スケジュール的にはゆったりしています。
(IPO投資のやり方と流れ)
そこでカブスルは、分売の注文は前夜にすることにしました。
立会外分売の注文は、前日の夕方以降から注文ができます。
朝に行うのは割当確認(約定の確認)だけになり、時間的には少しラクになりました。
立会外分売とPOの違いは目的と期間
立会外分売と似ているものに、「PO(公募・売出)」があります。(IPOと違います)
どちらも上場企業が株式を売り出すもので、基準価格よりディスカウントして売り出します。
ひとことで違いを説明すれば、売り出しの規模になります。
仕組みは似ていますが、売出の目的と期間が大きく違います。
立会外分売 | PO | |
---|---|---|
規模 | 小さい 売出数が少ない |
大きい 売出数が多い |
主な目的 |
個人株主を増やす |
資金調達 |
申込期間 | 前日の18時ころから翌日の8時ころまで | 一週間ほど |
売却 | すぐに売却できる | 一週間ほど待つ その間に株価が大きく動いている可能性あり |
企業の手間 | 負担が低い | 負担が大きい 有価証券届出書の作成 |
企業にとっても投資家にとっても、手軽なのが立会外分売になります。
立会外分売への質問
立会外分売の質問と返答です。
立会外分売には複数の証券会社から申し込んでいいの?
はい。大丈夫です。
通常の株式投資なので、複数申し込んでも全く問題ありません。
貸借銘柄ってなに?
貸借銘柄は信用売り(空売り)ができる銘柄になります。
貸借銘柄は空売りの買戻し(買い注文)が期待できるので、分売では人気がやや高くなります。
信用取引については、姉妹サイトで詳しく紹介しています。