スピンオフとは?
2020年3月2日に、親会社のコシダカHDが子会社のカーブスHDを上場させました。
日本初のスピンオフによる上場となり注目を集めました。
投資家に敬遠される親子上場と違い、子会社の独立性が親子上場より高まります。
親子上場よりも投資家の理解を得られやすいとして、今後はスピンオフが主流になるかもしれません。
スピンオフとは?
スピンオフは、子会社を本体と資本関係のない独立した会社にする仕組みです。
経済産業省の資料に下記のように書かれています。
- 自社内の特定の事業部門又は子会社を切り出し、独立させるもの。
独立した会社の株式は元の会社の株主に交付される。- 自社内の特定の事業部門を切り出す場合は新設分割、子会社を切り出す場合はいわゆる現物配当により行う。
スピンオフによる効果として、経営の独立、資本の独立、上場の独立による企業価値の向上が期待されます。
みなさん、スピンオフという単語自体は聞いたことがあるんじゃないでしょうか?
- 映画「ジョーカー」。バッドマンのスピンオフ作品
- 映画「交渉人 真下正義」。踊る大捜査線のスピンオフ映画
スピンオフは、派生的といった意味合いがあります。
コシダカHDはフィットネス事業を上場へ
コシダカHDは、カラオケ事業とカーブス事業の2つがメイン事業です。
スピンオフにより事業分離を行い、子会社のカーブスHDが東証に上場しました。
スピンオフと親子上場の違い
親会社と子会社の上場と聞くと、日本では「親子上場」という言葉を耳にする機会が多いです。
親子上場は、親会社が株式の多くを保有したまま子会社を上場させるため、親会社が影響力を持っていました。
スピンオフは、親会社と資本関係のない独立した会社となり、子会社の独立性が親子上場より高まります。
コシダカHDが行うまで、日本ではこれまでスピンオフの実施例がありませんが、海外では米イーベイが決済のペイパルを切り離した例などあります。
スピンオフの流れ(コシダカHDの例)
コシダカHDから発表された資料を分かりやすく、まとめると下記になります。
ワンポイント
- 子会社のカーブスHDの上場が承認されるのが、スピンオフ実施の前提。
- スピンオフの対象者は、2020年2月26日(水)に、コシダカHDの株式を保有している株主。
基準日は2020年2月29日(土) - コシダカHDの保有株1株につき、カーブスHDの株式が新たに1株 付与される。
付与されるのは、3月1日(日)。(手続きは何もなし) - カーブスHDの上場予定日は3月2日(月)。
証券会社を通じて市場で売却が可能になる。 - コシダカ権利落ち日に、コシダカの株価はカーブスの公開価格分が減算される。
基準日は2月29日(土)ですが、株の受渡には3営業日かかります。
よって、2月26日(水)にコシダカHDの株式を保有している必要があります。
理論的にはスピンオフ前後の価値は一緒
コシダカ権利落ち日に、カーブスの公開価格分の株価や配当金分が減算されます。
(発表資料より)
保有株式 | |
---|---|
スピンオフ前 | ・コシダカHD |
スピンオフ後 | ・コシダカHD(カーブスHDの株価分を減算) ・カーブスHD(現物配当される) |
スピンオフが行われても、理論的にはトータルの価値は変わりません。
パーシャルスピンオフが新設
令和5年度税制改正で、大企業発スタートアップの創出や企業価値向上に向けた事業再編を促進するため、元親会社に一部(20%未満)持分を残すスピンオフにおいても、一定の要件を満たせば株主等に対する課税を繰り延べる特例措置が創設されました。
それがパーシャルスピンオフ税制。
パーシャルスピンオフの適格要件は次の通り。
段階的に分離・独立したい、元親会社との関係を残したいという意向を持つ企業にとって利用しやすい内容に。