楽天証券が東証に上場申請。資金調達が目的か?

楽天証券

ネット証券大手の楽天証券が、東証に上場(IPO)を申請したとの報道がありましたが、2023年11月に上場申請を取り下げました。(SBI証券の手数料無料化へ追随し、利益が大幅に減る為)

【11.9追記】年内の上場が困難に。みずほFGから追加で870億円の出資を受ける。出資比率は49%に。

【9.12追記】楽天証券HDが2023年9月28日に1株 → 500株の株式分割を実施。
株式分割は上場前の事前準備のひとつとなり、上場が近いと思われます。

2023年3月に同じ楽天のグループ会社の、楽天銀行が上場しIPOは成功。
楽天グループ子会社の上場(IPO)が加速しそうです。

上場準備が相次ぐ背景としては、事業資金の調達が有力だと個人的に考えています。

親会社である楽天グループの決算資料などを基に、楽天証券の業績などを確認していきます。

楽天証券の業績は好調!

楽天証券は、「楽天市場」を運営する楽天グループを親会社にもつ、ネット専業の証券会社です。
2022年10月に組織再編し、楽天証券HDが新設。楽天証券は楽天証券HDの子会社に。

業績は非常に好調で、業績の伸びをみるとネット5大証券の中でもトップクラスです。

2022年12月期の決算資料に、各証券会社との比較表がありましたので引用します。

主要オンライン証券の比較
楽天証券の2022年12月期決算資料より

こちらは業績ハイライト。前期と比較して伸びています。

業績ハイライト
楽天証券の2022年12月期決算資料より

参考までに2021年12月期のハイライト。
業績ハイライト
楽天証券の2021年12月期決算資料より

なかでも投資信託が絶好調で、あの野村證券より販売額が増加しています。

楽天証券の投資信託は、毎月の残高に対してポイントの付与がありましたが、2022年4月から一定の残高をはじめて達成した場合となりました。投資信託が好調だった理由として、こちらのポイント付与があったため、2022年4月以降は販売額の増加額は落ちるんじゃないかと思います。
→ このコメントは2021年12月期の資料をみたときのものですが、最新のハイライトをみるとやはり販売額が落ちています。

証券業界は今後、統廃合が起こると個人的に思っていますが、楽天証券は取引ツールが優秀、画面が見やすく使いやすい、そしてポイント付与という強みがありますので、上場(IPO)してもある程度の人気はでそうな気がします。

口座開設数は長年首位のSBI証券に肉薄

ネット証券といえばSBI証券が長年、個人投資家の口座開設数No1として君臨していましたが、カブスルの記憶で2020年頃より、楽天証券が口座開設数をグイーンと伸ばしてきました。

こちらはライバルであるSBI証券の2023年3月期の決算資料から口座開設数を引用します。

主要オンライン証券の口座開設数の比較
SBI証券の2023年3月期 第3四半期決算資料より

こちらの表、一見するとSBI証券がNo1に居続けるのにまだ余裕がありそうなだなと思われそうですが、SBI証券の口座数は4つの証券サービスの合計となっています。

SBI証券のグループ会社3社の口座数を外し、SBI証券と楽天証券で口座数を比較すると、かなり肉薄しているんじゃないかと思われます。

楽天グループのポイントで株が買える

親会社である楽天グループのサービスの特徴として、サービス利用に応じて楽天のポイントが貯まります。

貯めたポイントで、楽天市場での買い物や、楽天証券で株を購入することができます。

通常ポイント すべてのサービスに利用可能。買い物や、株の購入も可能。
有効期間は、最後にポイントを獲得した月を含めた1年間ですが、期間内に1度でもポイントを獲得すれば有効期限は延長。
期間限定ポイント 一部のサービスに利用可能。
キャンペーンにより有効期限が異なる。

ポイント目当てで楽天のサービスのみを利用している利用者も多いです。(楽天経済圏による顧客の囲い込み)

楽天グループが携帯電話(モバイル)にチカラをいれはじめたのも、楽天経済圏を強化するためです。

みずほFGが楽天証券に5割弱の出資

2022年10月7日に、みずほ証券が楽天証券に19.99%を出資するとの報道がありました。出資金額は800億円。

2割で800億円なので、楽天証券の推定の企業価値は4,000億円となりそうです。

  • みずほ証券:楽天経済圏の顧客基盤を活用できる
  • 楽天証券:みずほフィナンシャルグループの商品力や総合的な資産コンサルティング力が活かせる

といった、相互に良い効果を期待しての出資のようです。
最近は対面型の大手証券会社がネット証券に出資する事例が増えているように思います。

個人的には楽天証券のメリットは見えても、みずほ証券のメリットが見えないんですが。
楽天経済圏の人はみずほ証券を利用しない気がするんですが、どうなんでしょうか。

2023年11月9日にみずほFGが楽天証券に870億円の追加出資をするとの報道がありました。
これでみずほFG(みずほ証券)の出資比率は20% → 49%へと大幅にアップしました。

ネット証券専業としては2社目か?

【2023.7.4追記】
東証への上場申請は楽天証券HDとして行う。

【2022.10.11追記】
2022年10月に楽天証券HDを新設。楽天証券は楽天証券HDの子会社に。

ということで、楽天証券も他社同様、証券会社単独ではなくホールディングスとしての上場となりそうです。
下記の記事は参考までに残しておきたいと思います。

間違えられることが多いんですが、ネット専業5大証券で上場しているのは現時点で「松井証券」のみです。

楽天証券が上場すれば、ネット専業証券で2社目の上場となりそうです。(ロボアドのウェルスナビを省いて)

他の証券会社は、証券会社単独ではなく、親会社がグループやホールディングスとして上場しています。

証券会社 上場市場
松井証券 東証プライム/8628に上場
楽天証券 親会社の楽天グループ(4755)が東証プライムに上場
→ 2022年10月に楽天証券HDを新設。楽天証券は楽天証券HDの子会社に。上場申請は楽天証券HD
SBI証券 親会社のSBIホールディングス(8473)が東証プライムに上場
マネックス証券 親会社のマネックスグループ(8698)が東証プライムに上場
マネックス証券はNTTドコモの子会社に(2023年10月に資本業務提携を発表)
auカブコム証券 親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が東証プライムに上場

たまに上記5社を単純に株価だけで比較している方を見かけますが、事業内容が違うのであまり意味がありません。
(比較するなら、証券会社の部分だけ各決算資料から抜き出した方がいいかも)

ちなみに、マネックス証券の銘柄スカウターにて上場会社の比較ができるので、主なものを抜き出してみました。

マネックス証券にて(2022.5.24時点)
証券会社の比較

楽天証券が上場すれば、同じく証券会社単独で上場している松井証券やウェルスナビとの各指標での比較などが容易になります。

マネックス証券の銘柄スカウターは企業分析に便利な無料ツールで、カブスルのお気に入りです。

楽天グループの業績は悪い

楽天証券、楽天銀行の上場準備は、親会社である楽天グループの業績悪化も要因だと個人的に考えています。

楽天グループの業績は、携帯事業に参入してから悪化しています。

楽天グループの業績推移
マネックス証券の銘柄スカウターより

携帯電話事業は苦戦が続いておりますが、プラチナバンドの割当が確定したことと、楽天モバイルユーザーにとって楽天市場のスーパーポイントアッププログラムが改善されたことで、再注目されています。

子会社の上場(楽天証券、楽天銀行)は、親会社(楽天グループ)にとって資金調達の手段が増えるので、楽天グループの業績悪化が子会社の上場予定(IPO)にもつながっていそうです。

親子上場のメリットとデメリット

楽天証券が親会社の楽天グループから離れて上場(IPO)すれば、親子上場となります。

一般的な親子上場のメリットとデメリットはこちら。

ワンポイント

★ 親子上場のメリット

  • 親会社のメリット
    • 保有している子会社の株式を売却することによる資金調達
    • 子会社の株式の市場価値が向上
  • 子会社のメリット
    • 親会社から独立性が増す。経営独立性の確保
    • 上場会社で働く従業員としてモチベーションが向上

★ 親子上場のデメリット

  • 親会社のデメリット
    • 子会社に対する影響力が弱まる
    • 子会社の上場による情報開示
  • 子会社のデメリット
    • 親会社への依存度が低下することによる営業力の低下、管理コストの負担
    • 親会社の利益が優先され、子会社の少数株主の利益が不当に阻害される恐れ

親会社の大きなメリットとしては、資金調達の方法が増えることです。

楽天グループは携帯事業で苦戦しており、子会社の上場による資金調達は大きなメリットになります。

また、楽天グループは事業内容が多すぎて適正な株価が算出されていない状況(コングロマリット・ディスカウント)にありますので、証券業務を切り離すことで事業内容がややスッキリします。

一方、楽天証券は経営独立性が増し、従業員のモチベーションが上がりやすくなります。

今回の親子上場は、親会社である楽天グループに良い影響がありそうです。

親子上場は、ガバナンス(企業統治)の問題から解消されつつありますが、楽天グループはむしろ進めようとしています。
親子上場は市場から敬遠されやすいですが、直近の親子上場によるIPOの結果も公開しています。(敬遠されるものの、大体初値が好調)

楽天証券の株(IPO)を購入する方法

楽天証券の株を購入するには、大きく分けて二通りの方法があります。

  1. 株式市場に「上場した後」に購入をする
  2. 株式市場に「上場する前」に購入をする(IPO)

上場後に株を買う

一般的な楽天証券の株の購入方法で、上場後は証券会社を通じて誰でも購入できます。

証券会社に口座開設し、買い注文を出します。

上場前に購入する(IPO)

IPOとは?

企業が株式市場に新たに上場することを「IPO」といいます。

幹事証券にて抽選や割当により、上場前の株式を購入できます。

IPOは、上場前(公開価格)で購入した株価よりも、上場後にはじめてついた株価(初値)が上がる場合が多いです。

人気が高いIPOほど、買い注文が集まり株価が上昇するので利益額も大きくなります。

IPOが決まるのはいつ?

一般的には上場日の約1ヶ月前にIPOが承認されます。

楽天証券のIPO(上場)が、正式に東京証券取引所に承認されると、IPOの具体的なスケジュールが決まります。

  • 上場日
  • 仮条件(必要な抽選資金)
  • 主幹事証券

庶民のIPOでは、上場決定後に「楽天証券」のIPOの期待度を五段階で評価し予想利益を掲載します。

メール通知システム

上場が決まりましたらIPOスケジュールに掲載します。

IPOの承認やブックビルディングの開始が登録されたメールアドレスに送られてくるIPOのメール通知システムを利用すると、IPOの新規承認後にメールで通知されますので便利です。利用料は無料です。


事前に証券会社の口座開設を

楽天証券に関するIPO(上場)のニュースがありましたら、追記していきます。

どの証券会社が幹事証券になるかは未定ですが、IPOの承認からブックビルディング(抽選申し込み)までの期間はそんなに長くありません。

IPOの承認からブックビルディング開始までは、大体、2週間ほど空くのが一般的ですが、この期間を早めようという動きがあります。
書類の不備があると思わぬ日数がかかるため、早めの口座開設がおすすめです。

証券会社の口座開設は無料です。
主要な証券会社は口座開設を事前にしておきましょう。

事前に口座開設を行っておくと、楽天証券のIPOだけでなく その他の人気IPOのブックビルディングにも参加できます。

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